かんとこうブログ
2021.03.01
上場塗料製造会社の2021年3月期第3四半期決算
2月の上旬から中旬にかけて、上場している塗料製造会社の2021年3月期第3四半期の決算内容が発表されました。すでに新聞や業界紙等で報道されていますので、目新しい内容ではないのですが、簡単に紹介したいと思います。
まずは、一覧表をごらんください。この中で日本ペイントだけは、会計年度が1~12月ですので、第3四半期ではなく年度末決算です。
こうした数値は各社のホームページか、決算情報提供サイトから調べるわけですが、1社を除きすべて自社のホームページに決算情報が開示されていて、簡単に調べられるようになっています。例外の1社がなぜかホームページに情報が見当たりません。載せていない理由は不明ですが、開示に後ろ向きな印象を受けてしまいます。
またセグメント情報として、できるだけ国内の需要分野別需要動向に関係する情報を拾いましたが、正直言って有効な情報は多くありません。セグメントの分け方に決まりがあるわけではなく、形だけのセグメント分けになっているケースも少なくありません。
さて、この一覧表を眺めて最初に思うのは、やはりこの2021年3月期に関しては、コロナの影響をまともにうけて大幅な減収になっている会社が多いという当たり前の事実です。増収は日本ペイント、アサヒペン、アトミクスの3社ですが、日本ペイントも実質ベース(買収などの影響を排除した場合)および国内セグメントでは減収になっています。また2021年3月期の決算見通しも、上記3社以外は前年割れを予定しています。
ただ、第2四半期と比べてみると減収の幅は縮小しています。これは第3四半期の10~12月が第1・第2四半期と比べて比較的好調であったことを反映しており、すべての上場会社が減収割合を圧縮していました。
決算見通しのグラフで、日本ペイントは2021年12月期決算見通し
第3四半期までの時点での、売上と営業利益がどのような位置にあるのかを以下の表に示します。
横に売上、縦に営業利益の欄をならべて整理してみました。通常左上から、右下にならぶことになりますが、注目すべきは、減収増益となった中国塗料とロックペイントです。それぞれにそうなった事情があるものと推測されます。減収割合と営業利益減少割合がほぼ同じのが、関西ペイントとエスケー化研です。通常減収割合以上に営業利益減少割合は大きくなりますが、この2社はなんとか営業利益の減少をそれほど落とさずに食い止めています。
最後の日本ペイントの決算説明資料から、2020年10‐12月と2021年通期の市場環境(需要予測)を引用させてもらいます。
10‐12月はすでに終わっていますので、これを公表するのは難しいことではありませんが、2021年通期を公表するのは簡単ではないと想像します。にもかかわらず、細かな前提条件を設定して公表していることに敬意を表します。同社の評価によれば、幸い2021年は、自動車、建築とも悪くはなさそうですが、それもこれも、感染症とワクチン次第のところがあります。引き続きコロナ禍の動向に左右される状態であることは変わりません。