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かんとこうブログ

2021.08.27

経済産業省の2020年確報 品目別統計表が発表されました

8月25日に経済産業省の工業統計表 2020年確報 品目別統計表が発表になりました。これは毎月お知らせしている経済産業省の速報および確報をさらに詳細に集計したものであり、従業員4名以上の事業所を網羅しているとされています。2020年確報ではありますが、発表された内容は2019年の生産に関するものです。まだ完全な形にはなっていませんが、とりあえず今日の段階で整理したことをご紹介します。

まずは全国の塗料製造事業所数と製品出荷金額です。

1644とは塗料に付された小分類コードです。製造事業所は2019年では大きく減少しました。このところ減少傾向ではありましたが、一気に減少したと言えます。製品出荷額も前年比で90.9と減少しました。ここで製品出荷額がずいぶんと大きな数字であると気づかれたかと思います。経産省の統計数値は常に日塗工の数値よりも大きくなっており、それは主として同業者間の出荷をどう扱うかによる違いと言われています(経産省統計では同業者間出荷がダブルカウントされる)。さらに言えば、日塗工の調査が及ばない部分もありますので、これらの理由で経産省の方が数値が大きくなっています。

上図の下段に日塗工調査の製品出荷数量、金額の推移を示しますが、2019年の出荷金額は6335億円と経産省の約6割強となっており、前年比についても98.5とそれほど大きな減少ではありませんでした。201910月には消費税増税が行われ10-12月は大きく需要が落ち込みました。従っていずれにせよ前年を下回っていたことは間違いありませんが、減少度合いには差があります。ここではこれ以上この差について論議できる材料がありません。

次に各塗料別の需要動向です。塗料の分類が塗料組成中心であり、現在の主要需要分野を反映した分類であるとは思われないのですが、そのまま紹介します。

この7区分のうちで最も大きなものは中段左の溶剤系合成樹脂塗料(全体の6割弱)と中段中の水系合成樹脂塗料(全体の2割弱)ですが、いずれも2019年は横ばいから微減といったところでした。2019年に増加したものは電気絶縁塗料のみでしたが、この電気絶縁塗料は2015年以降でずっと成長を続けています。製品出荷額を数量で割れば単価がでます。こうしたおおざっぱな計算で得た単価が果たしてどこまで意味があるかどうかわかりませんが、出荷金額と数量から計算した塗料単価の推移を下に示します。

単価についておおまかには、ほぼ横ばいと言っていいのではないかと思います。2019年に限ってみれば、7つの区分の中で単価が下がったのは電機絶縁塗料のみでしたので、全般的に上昇傾向にあったと言えます。

冒頭で1644が塗料関係につけられた小分類番号であるとお伝えしましたが、実はその前の方にちょうど塗料の原材料が並んでいましたので、それらについても5年分の数量金額および単価の推移についてグラフにしてみました。

上段が顔料、中段が溶剤、下段が樹脂および樹脂材料です。2019年にスポットを当ててみると全般に数量は減少傾向です。塗料の製造量が少なかったのですから当然ではあります。中には塗料以外にも使用されているものもありますが、際立って増加したものはありませんでした。次に単価(出荷金額を数量で割った値)を見てみましょう。

2019年に単価が前年よりも上昇した原料は、酸化チタン、酸化鉄、カーボン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂でした。溶剤はそろって単価が下がっていました。なにがしかの参考になればと思います。

今日ご紹介するのはここまでですが、この工業統計表にはさらに詳しいデータが追加されると思いますので、昨年末にご紹介したような、業界としての成長性や収益性などについても解析したいと思っています。

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