かんとこうブログ
2021.10.21
日本ペイントHDの業績予想修正説明資料
10月12日に日本ペイントHDが2021年度の業績予想修正を発表しました。8月に業績予想を上方修正したばかりでしたが、今回は下方修正でした。この間どのような事情で下方修正に至ったのか、説明資料と当日のQ&Aからご紹介したいと思います。今日の内容はすべて同社からの公表資料から引用しています。
8月の修正については、売上で1200億円、営業利益で150億円の上方修正でしたが、今回の修正は売上で100億円、営業利益で220億円の下方修正となりました。この修正内容についてはその内訳を以下のように説明しています。売上から説明します。
売上が減少すると予想する地域は日本、アメリカ、中国以外のアジアで半導体不足による自動車の減産が主要因とし、加えてコロナによる社会活動の制限も影響ありとしています。中国は自動車は影響を受けているものの汎用は堅調であり、トータルとしては8月の予想から微増としています。営業利益については、
営業利益の増減は、先ほどの売上の増減とは様相が一変します。自動車用事業の減収に伴う利益減は全地域に共通していますが、原材料の高騰によるインパクトは、販売数量の大きさに比例して大きくなっているようで、中国事業において165億円もの利益が減少すると予想しています。中国の汎用事業は堅調と言えども原材料の高騰をすぐに価格転嫁できるというわけではないようです。
説明のあとのQ&Aでのやり取りの中で、さらに修正内容に関係すると思われたものを挙げておきます。
・この中国事業における165億円減益修正のうち、2割程度が一過性の潜在的引当金である
・自動車事業については、11月、12月には前年並みに戻る前提を置いている。部品不足もある程度回復すると予想している。
・原材料高騰については、楽観視しておらず、少なくとも来年前半くらいまでは現在以上に値上がりする可能性を」想定して対処すべきと考えている。
・値上げの進捗については、値上げ可能な地域については対応ができている。ただし原材料価格の高騰が想定スピードよりも速く値上げによる吸収が追い付かない状況があるのが今の中国である。アジアや豪州などは極めて順調に値上げが進んでいる。
・中国における電力不足の影響については、供給メーカーの稼働率低下という現象で影響しており、せっかく複数社購買体制を敷いてるにもかかわらず、高値で他から調達せざるを得ない事態が最近起きている。
・当社のシェアが非常に高い地域においては、比較的価格転嫁が実施しやすいと考えている。
以上が発表された資料の内容の抜粋です。8月時点でも原材料の高騰はある程度計算してはいたと思いますが、中国における原材料の高騰と逼迫については、日本ペイントと言えども業績の下方修正を余儀なくされるほど厳しい状況のようです。