かんとこうブログ
2021.12.16
復調の兆し、前々年比26カ月ぶりに100%超え・・業況観測アンケート11月の結果
昨日、日本塗料工業会から業況観測アンケート11月分の調査結果を受領しました。組合員の皆さんにはすでにFAXでお知らせをしていますが、久々の明るいニュースとして、11月分は全体として前年同月比、前々年同月比が二つそろって100%を超えました。これは実に2019年9月以来26か月ぶりにことです。9月以降の急激な新規感染者数減少を受けて、そのまま感染の抑制状態が続いていることの賜物と推測されます。
昨年10月以降の、用途別前年同月比(金額)の一覧表を下に示します。最下段に11月の前々年比を示しています。
11月分の調査結果ですが、全体では10月に比べ前年同月比(金額)で8.5ポイント上昇しました。前年11月はコロナ禍による需要のおちこみから前年並み付近まで回復した時期であり、用途別全体の前年同月比が98.9でありましたので、前々年同月比では、101.4となります。2019年9月以来前々年同月比はずっと100%割れが続いており、表題に書いた通り、100%を超えたのは実に26カ月ぶりのことです。
とは言え、そこにもまだ裏の事情があり、実は2019年の10月以降は、消費税増税のために消費が大きく低迷してしまいました。すなわち2019年9月までと異なり、基準となる前々年同月の水準が低いのです。従って手放しで喜べる状態ではなく、現に自動車はまだ前年同月比でも100を下回る状況です。本格的な回復の証とはとても言えませんので回復の兆しと書いた次第です。
今年の4月以降続いていた前年同月比と前々年同月比の乖離はようやく収まりつつあります。ただ、細かくみると自動車と船舶・建造物でまだ少し乖離があり、これは両分野ともまだ2019年の消費税増税後の状態にも回復していないということを示しています。特に塗料業界にとって影響の大きい自動車分野の回復が待たれる状況だということです。グラフを示します。青が前年同月比、赤が前々年同月比です。
以前にも書きましたが、前年同月比は平常時にこそ季節要因を排した有効な指標になりますが、非常時には平年並みとの比較指標にはなりえません。そこで前々年同月比という数値を持ち出して比較していたわけですが、もはや正確にはその前々年同月比も、消費財増税の影響を受けた時期の基準値との比較になってしまいました。新しい基準値を考える必要があると感じています。
最後にこれまで継続でフォローしてきたリーマンショック時とコロナ禍の比較のグラフを示します。
こちらの方は、前年比と前々年比の比較とは違い、概ね傾向は一致しています。ただし、自動車は今年の中盤頃から傾向が一致しなくなりましたが、これは半導体や部品不足と言った特殊要因ともいうべき事情が重なったからだと考えています。せっかくここまで続けてきたので、もうしばらくこの比較も続けてみたいと思っています。実はリーマンの時も、これ以降の展開は決して順調ではなく、東日本大震災はじめさまざまな要因により需要は上下しました。そういうことも含め追跡してみたいと思っています。