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かんとこうブログ

2022.05.25

紫外線は何月が最も強烈なのか?

しばらく雨模様の日が続いていましたが、ようやく初夏らしい明るい太陽が戻ってきました。紫外線量が増えて日焼けが心配な季節になりました。いつぞやの天気予報で一年で最も紫外線が強いのは6月と聞いたことがあります。夏至が6月なのでなるほどそうかと思った記憶があるのですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?塗膜の劣化という観点でも紫外線量は重要ですので、この際ちゃんと調べてみることにしました。今日はその結果をご紹介します。

調べたのは気象庁のサイトです。実のところ気象庁のサイトに紫外線量の記録があるにはあるのですが、全国津々浦々のデータがあるわけではなく札幌、つくば、那覇の3か所の数値しかありませんでした。しかも札幌と那覇は2018年で観測が中止となっています。ということで継続してデータのあるつくばのデータで調べるしかなくなりました。

一口に紫外線量と言っても気象庁のデータは、UVインデックス、紅斑紫外線量、UV-B量と3種類掲載されていましたので、この説明から始めます。

上図にUVインデックスの説明を引用しておきました。要約すると、「どの波長がどれだけ人体に影響を与えるかという影響度に地上での紫外線強度を波長ごとに掛けると波長ごとの人体への影響度が得られる。これを紫外線領域の波長について積分したものが紅斑紫外線量であり、この紅斑紫外線量を日常使いやすい数値に直したのがUVインデックス」です。紫外線量そのものではなく、人体への影響度に換算した紫外線量ということになります。一方でUV-Bは塗料関係者であれば説明は不要でしょうが、波長が280nm315nmの範囲で積算したものですので、こちらは紫外線量そのものです。しかも地上に届く290nm以上の波長の紫外線の中でもエネルギーの高い部分の紫外線量ですので、塗膜の劣化を論じるにはこちらの方が適していそうです。とりあえず2012年から2021年の10年間について、つくばの紫外線量のデータをグラフにしてみました。最も塗膜の劣化との関連がありそうなUV-Bのデータからご紹介します。

どういう測定値かというと日積算UV-B量の月平均値、つまり一日のUV-B量を積算した値の月平均ということです。左から2枚はこの10年間の数値を月別にプロットしたものですが、UV-B量が大きいのは7月か8月(青枠で囲った範囲)であることがわかります。さらに詳しくみるために、右の図で68月の3カ月だけを抜き出して書いてみました。6月はともかく、7月と8月は線が交錯していてはっきりとは言えませんが、やや7月の方が多い年が多いと思われます。こうして年によってばらつくのは、地上に到達する紫外線量は当然ながら天候の影響を受けるからです。全天が雲に覆われていてもある程度の紫外線は地上まで到達できますが、雲に遮られる分だけ量は減ります。UV-Bの強度としてはわずかな差ですが一番紫外線量が多いのは7月ということになりました。紫外線量は基本的には太陽高度で決まりますので、最も紫外線量が多いのは6月でも良さそうなものですが、そうなっていないのは天候の影響があるからと思われます。

同様なことをUVインデックスについてもやってみました。結果はほとんど同じでした。

1年毎に7月と8月のどちらが多いかを見ていくとこの10年間では7月と8月は同数でした。ここでも天候次第ということになります。最も日焼けしやすいのは7月と8月の両月というように覚えておきましょう。

それでは一日のうち最も紫外線が強いのは何時でしょうか?そんなものは12時に決まっている!といわれるでしょうが、確かめてみました。時間ごとのデータで比較できそうなものは月最大UVインデックスの累年平均値(1994-2008年)でした。1月から12月までのデータを示します。

上のUV-BNVインデックスとはデータ取得期間が異なっていますが、この図から最も紫外線が強烈なのは7月となります。そして1日のうちで最も紫外線が強烈な時間帯を探すと午前12時となるのですが、実は9月~12月は少しずれており、9月と12月は12時と1時が同じ紫外線量であり、10月と11月はわずかに1時の方が12時の量を上回っています。これには南中時間のズレが関係しているかもしれません。

各月各時間帯のUVインデックスのグラフがでたところで、UVインデックスと紫外線対策の関係を示します。上の図で赤い色の部分は外出を控え、長袖シャツ、日焼け止め、防止を利用することとなっていますので、それに該当するのはやはり6月~8月ということになります。

最後に、札幌、つくば、那覇の紫外線量について日積算UV-B量の月平均値(19942008年)の結果を示します。年平均値で言うと那覇の紫外線量は札幌の約2倍、つくばの約1.5倍でした。がしかし何と言っても面白いのが南極の昭和基地であり5月から8月は白夜になるため紫外線は届きません。そのかわり1112月は那覇をも上回る強烈な紫外線が地上に降り注いでいます。

今日は紫外線について調べたことを書きました。これから夏になると紫外線だけでなく温度が上がり、雨量も増えます。人間だけでなく、塗膜にとっても消耗が早まる季節になります。

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