かんとこうブログ
2022.06.13
とにかく23種類のアミノ酸の種類をしりたくて
先週はやぶさ2が「りゅうぐう」から持ち帰った砂の中から23種類のアミノ酸が検出されたという内容が報道されました。この論文は6月10日付の「学士院紀要」に掲載されたそうなのですが、学士院紀要を覗いてみましたが、1年前の記事しか読むことができず、あちこち探してようやく見つけました。
この論文のほとんどは、有機物についてではなく採取した砂の構造や元素などの分析や解析に割かれており、有機物についての記述は少ないように見えました。(全体をちゃんと読んでいないので自信がありませんが・・)
ただし、同定された有機物の内容についての図が、みつかりその23種類のアミノ酸が何であったのかはわかりました。それでは、分析結果のグラフをご覧ください。
検出された有機物の一覧です。青棒が今回のりゅうぐうのサンプル、青棒がオルゲイル(オルゲイユ)という1864年に、フランス南西部のタルヌ=エ=ガロンヌ県オルゲイユ近郊に落下した隕石での分析結果です。この両者の分析結果は大変類似していますが、隕石がチロシンを含んでいたのに対し、りゅうぐうの砂からはチロシンが検出されませんでした。化合物の略号に色付けして分類していますが、赤い色付けがたんぱく質に含まれるアミノ酸で緑色はそれ以外のアミノ酸です。たんぱく質の含まれるものが11種類、含まれないものが12種類の合計23種類です。この図では書かれていないホモロイシンというたんぱく質に含まれないアミノ酸の存在が補足資料の表中にありました。検出された尿素とアミノ酸の一覧表を下に示します。
重要なことは、生命体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類しかないのです。そのうちの半数以上が検出されたということが、地球における生命体誕生のなぞに迫る発見と言われる所以です。
論文中の文章による記述は以下のようになります。
要約すると、りゅうぐうでは尿素と23のアミノ酸が検出された。隕石の場合に比べてチロシンだけが少なかった。これら以外にも多くの物質が存在していたが量がすくなく同定に至らなかった。りゅうぐうと隕石のアミノ酸についての比較では、異性体比率が大きく異なるケースがあった。全般的にりゅうぐうと隕石では各アミノ酸量の分布は似通っているものの、全般に隕石の方が量が多いということになります。やはり地球の生命体の起源は宇宙からきたのか、想像が膨らみます。
この論文は全体的にはりゅうぐうの構造や組成に関する記述が大半を占めており、「氷天体」なる興味深い言葉もでてきていましたが、それを説明することは私には手に負えないので、興味がある方は各紙の報道をご覧ください。