かんとこうブログ
2022.06.21
業況観測アンケートの結果が示しているものは?
昨日日塗工から業況観測アンケート5月分の結果を受領しました。すでに組合員にはFAXで結果を通知してありますが、金額の前年同期比(金))はすべての分野で100を超え、前々年同期比(金額)も全体で125.3と大幅に超えてきました。まずは昨年4月以降の各分野別の前年同期比(金額)の一覧表からご覧ください。
これらの数字をみるといかにも回復基調にあるような感じがしますが、残念ながら前年同期比でも数量となると100に届かず、昨年来の原材料高騰のため、やむなく値上げをせざるを得ない中で数量が前年同期に及んでいない中での金額比較でのアップの結果であることがわかります。これも残念なことなのですが、分野別の数量の前年同期比は発表されませんので、これ以上の解析はできませんので、今日は他の方向からの解析をしてみたいと思います。
どんな解析かと言うと先日ご紹介した2014年を100として、毎年の同じ月の前年同期比を掛け合わせていくというやり方です。少なくとも2014年の同じ月に対して今年に至るまでの推移が見て取れるはずです。今回は2014年の4月と5月をそれぞれ100として以降毎年の4月と5月の前年同期比を掛け合わせていった数値をグラフにしてみました。
左が4月、右が5月の推移です。似たような形ではありますが、2022年現在の各分野の立ち位置は少し違っています。具体的には、4月については2014年から見て2022年の水準は、自動車用と電機・機械・金属ではプラス(100以上)にありますが、それ以外の分野ではマイナス(100以下)の水準です。一方、5月については、各分野とも93-102の範囲に収斂してきており、分野ごとの差がなくなってきているということです。これがどこまで正しく現在の立ち位置を示しているのかは残念ながらまだわかりません。もうしばらく続けないと判断できないと言わざるを得ない状況かと思います。
「その程度のことをわざわざやらなければいけないのか?」と言われそうですが、やらなければならない理由は、この貴重な需要分野別の動向調査の結果は金額の前年同期比という値しかないということです。前年同期比というのは、あくまで前年の同月に比べてどの程度の売上であったかという数値でしかなく、大きな変動のない時期には小さな変化も拾えるよい指数かもしれませんが、コロナ禍のような大きな変動があった場合には、そのあとしばらくは客観的な需要の動向を示す数値足り得ないからです。これは再三にわたりリーマンショックの事例をあげて説明してきました。本来そうしたことを経験した時にこのようなことが議論されていたらまた違っていたのかもしれませんが、統計資料というのは一方で継続性が要求されるものでもあり、指数値の変更というのは容易ではないことも事実です。
議論の方向が散漫になってしまいましたが、しばらくはこのやり方で、金額の前年同期比の数値から現時点の立ち位置をなんとか客観的に割り出せないか調べていきたいと思っています。