かんとこうブログ
2022.09.08
パキスタンの洪水に思うこと
先日来パキスタンの洪水被害が報じられており、大変に大きな被害がでているようです。今日はこのパキスタンの洪水について思ったことを書いてみます。
パキスタンの洪水の深刻さを表す写真があります。AFPニュースのサイトから引用しました。
https://www.afpbb.com/articles/-/3421881
写真上部のタイトルにもあるように、インダス川が湖と化しています。どうしてこのようになったかについては「山津波」という言葉が使われていました。
「山津波」とはコトバンクによれば以下のように説明されています。「山津波:山崩れにより生じた土石などが水と一体となって流れ落ちる「土石流」の俗称。特に、大雨などにより山腹が崩れて一時的に湖ができ、それが崩壊して一気に津波のように土砂が押し寄せてくる激しい土石流のことを言う」
大雨などのより山腹が崩れ、一時的に湖ができ、さらにそれが崩壊して土砂が押し寄せたという説明ですが、原因は大雨だけでなく異常な暑さも影響しています。テレ朝ニュースは、パキスタン気候変動相シェリー・レーマン氏の話として次のように伝えています。(太字引用部分)
https://news.yahoo.co.jp/articles/327d666ee338e1564ea8263a83f43e4784d20fc7
「通常よりも3倍の氷河湖決壊洪水が発生しました。300%まで増加したのです。氷河湖決壊洪水、別名、山津波。山の上にある氷河が溶け、まるで津波のように流れだします。」
また、地元メディアによると山津波は今年に入って、30件以上発生。原因は「前例のない猛暑」としています。
つまり、大雨もさることながら山岳地域では猛暑によって氷河が溶け、氷河湖の決壊が多発しているというのです。
氷河の溶解をもたらした原因は偏西風が大きく北に蛇行したためと言われていますが、その蛇行の原因は北極海の氷が解けて少なくなったためとされています。つまり今回の洪水の原因は地球温暖化が複合的に影響したものと言えそうです。
氷河の溶解と聞いて思い出した図があります。それは地球上の水の分布を示した図です。
地球上の水のうち、淡水は2.5%しかなく、そのうちの7割が氷河等に閉じ込められているということが示されています。この凍った水は液体の水の2.5倍ほどあり、河川や湖沼などの200倍近くもあります。
実際に地球上における氷の状態の水は、南極に89%、グリーンランドに9%、その他に1%、永久凍土1%、海氷0.1%というような分布のようですので、ヒマラヤはじめ高山地帯に残っている氷は全体から見れば量的には決して多くありません。
しかし、今回の洪水の様子を見れば、その少ない氷が一部溶解しただけでもこのように大きな被害をもたらすということが明らかになりました。地球温暖化の影響は、いろいろな形でまちがいなく人間に迫ってきているのです。