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かんとこうブログ

2022.09.27

小惑星リュウグウの形成と進化

 9月23日、JAXAから「小惑星探査機「はやぶさ2」初期分析 石の物質分析チーム研究成果の科学誌「Science」論文掲載について」というプレスリリースがありました。「はやぶさ2」が持ち帰ったリュウグウの岩石のかけらを詳細に分析し、その形成と進化の過程をシミュレーションで解き明かしたもので、その詳細がアメリカの科学誌「サイエンス」9月23日号に掲載されるにあたりその内容を紹介したものです。かなり難解で十分説明はできませんが、わかる範囲でご紹介したいと思います。この研究には以下に掲げた非常に多くの研究機関が携わっており、これだけでも力の入れようがわかろうと思います。なお今回ご紹介する内容はすべてJAXAのホームページ記載内容(下記URL)からの引用です。

https://www.jaxa.jp/press/2022/09/20220923-1_j.html

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
国立大学法人東北大学
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
J-PARCセンター
公益財団法人高輝度光科学研究センター
国立大学法人北海道大学
国立大学法人京都大学
国立大学法人九州大学
国立大学法人広島大学
国立大学法人東京大学

リュウグウの形成と進化は以下の図にしめされたように6段階に分けられるとされています。

図2:リュウグウサンプルの分析結果から推定されるリュウグウの形成進化プロセス。天体の温度分布や年代、衝突破壊のプロセスは数値シミュレーションで求めた。

それぞれの形成と進化の過程の推定は、分析結果とそれに基づく数値シミュレーションの結果の基づいており、詳細な説明が付けられていますが、さすがのリュウグウファンの私でも最後まで読むのをあきらめたほど詳細を極めているので、ここでは省略させていただき、代わりに毎日新聞のサイトから「リュウグウの形成と進化」の記事を要約として引用させていただきます。

リュウグウ試料から炭酸水 液体の水は初めて 「豊富な水の証拠」 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

母天体の直径は約100キロで、太陽系誕生(約46億年前)から約200万年後にできた。約500万年後に内部の温度が50度まで上昇し、大量の水が液体になった。その後、直径が10分の1程度の他の天体が衝突して壊れ、破片が集まってリュウグウができたとみられる。

少しだけ補足させていただくと、リュウグウの母天体は結構大きく、宇宙誕生のわずか200万年後に誕生しています。この母天体が形成された環境は水と二酸化炭素が氷として存在する-200℃以下の低温領域と考えられます。今回の解析でサンプルの中の結晶に閉じ込められた液体の水が見つかり、この水は塩や有機物を含むものでした。このことは、こうした有機物を含む水をもった天体が地球に衝突すれば、水や塩、有機物が直接地球に供給された可能性を支持するものとなります。


その一方で、リュウグウの岩石の中には、カルシウムとアルミニウムに富む包有物など、1000度以上の高温にさらされた物質も見つかりました。これらは太陽の近くの高温のガスから凝縮してできたとされます。太陽系の誕生からまもない時期に、太陽近くの物質が遠く離れた場所へ移動する大規模な物質混合があったことを裏付けるものと考えられます。

あのように小さいリュウグウにこのようなな壮大な歴史があったとは、宇宙の広さ、深さ、不思議さは人間の想像をはるかに凌駕しています。





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