かんとこうブログ
2022.10.24
9月の業況観測アンケート・・・全分野前年比100越えは2か月連続だが
先週の金曜日に、日塗工から9月度業況観測アンケートの結果を受領しました。結果はタイトルに書いた通りで、全需要分野で前年同月比が2か月連続で100を超えたのですが、この全分野前年比100超えは2022年に入ってから5月8月に続き3回目であり、その前となると2019年9月まだ遡ります。この2019年9月は消費税増税直前の駆け込み需要期でしたので、それも考えれば喜ばしい結果と言えないことはありません。
まずは2021年8月以降の各需要分野の推移を下表に示します。
各需要分野別では、8月に比べて、自動車が18.7ポイントアップしたものの、建築外装が7.9ポイント、船舶構造物が11.4ポイント、電機・機械・金属が6.9ポイント、木工が7.4ポイントといずれもかなりダウンしています。
全需要分野前年比100超えと言っても素直に喜べないのは、前年である2021年がコロナ禍2年目と言えども決して順調だったわけではないことによります。事実自動車用途などは2020年よりも大幅に落ちこんでいます。
となるとどうしても、平年比のような物差しがほしくなるわけで、最近はいろいろと悩みつつも条件を満足する指標が見つかっていません。せめてもの代替として日塗工の業況観測アンケートの表紙に掲載されている下のグラフをご紹介しています。
上の図は2008年以降の純出荷数量(12か月の移動平均)です。純出荷とは総出荷量から同業者向け出荷量を差し引いてたものです。下の図は上の図の直近12カ月分を拡大したものです。これを見ると二つのことが明らかにわかります。
一つ目は、現在の数量のレベルは2008年以降最低でありコロナ禍以前の2019年はもちろん、(12か月の移動平均であることを考慮したとしても)2020年にも及んでいないこと。二つ目は、数量の減少傾向は2022年に入っても続いているということです。
業況観測アンケートの需要分野別は金額の数値であって数量の数値ではありません。原材料高騰に起因する製品の値上げによって、数量と金額の推移は乖離傾向にあります。これも全分野前年比100超えを素直に喜べない要因のひとつです。
本格的な経済復興ははたして成し遂げられるのでしょうか?