かんとこうブログ
2022.12.20
金額と数量の乖離が継続・・日塗工業況観測アンケート11月結果
昨日、日塗工から11月の業況観測アンケート結果を受領しました。この業況観測アンケートの情報としての価値は主に次に2点にあります。一つ目は経産省の速報よりも2週間程度早いこと、二つ目は需要分野別売上金額の情報がわかる唯一の調査であることです。 特に二つ目は、経産省の調査結果からは塗料種類別の数量・金額情報はわかっても需要分野についてはほぼ情報がないため、重要性が高いと考えています。
さて11月の結果ですが、需要分野別金額の前年同期比の推移とともに下表に示します。
昨年の11月頃から全体における数量と金額についての前年同期比の乖離が大きくなってきており、それは現在も継続しています。(下図)
今年の5月以降は、金額の前年同期比と数量の前年同期比がほぼ同じような差異を保って推移しています。原材料高騰に起因する製品値上げにより、金額は5月以降前年同期比を連続して超えていますが、数量が前年同期を超えたのは8~10月の3か月に留まっています。数量の推移については日塗工の業況観測アンケートにグラフが記載されていますので、そこから引用して示します(下図)が、コロナ禍以降では低迷が続いており、この1年間の移動平均(下図のうち下の図)を見ても減少傾向であると言わざるを得ません。
一方、需要分野別の金額では2022年に入ってからは、全体に回復傾向とも言うべき前年同期比の推移になっています。(下図赤枠部分が2022年:日塗工の業況観測アンケートから引用)
しかし、これも上で見てきたように金額の前年同期比なので製品値上げの影響が大であるため、とても手放しで喜べる状況にはありません。最も懸念されることは、このまま数量が回復しないことですが、環境圧力が高まる中で今後数量回復に対して逆風が吹くことが心配材料となっています。
最後に2014年の各月を100として、それ以降の同じ月の前年同期比を掛け合わせていった指数について8月~10月の推移を示します。このところ業況観測アンケートの度に書いているように、各月のばらつきが大きく何か明確にものが言えるグラフにはならないのですが、おぼろげに見えるのは、自動車用塗料以外の需要分野の売上金額は2014年に比べて決して増えてはおらずむしろ減少傾向なのではないかということです。