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かんとこうブログ

2023.04.19

平均単価が1億円を超えた首都圏のマンション販売の実態

昨日のニュースで、2023年3月の首都圏のマンションの平均単価が初めて1億円を超えたと報じていました。東京23区内に限れば2億円越えとのことで、一体どんな人が買うのか、サラリーマンは首都圏でマンションを買えなくなるのでは、などと想像を巡らしました。まずは実態を調べてみようと思い、データを発表した不動産経済研究所のサイトを調べてみました。実態は、おおよそ予想通りでしたが、予想を上回っていたと言った方がよいかもしれません。

以下、同研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年 3 月」と「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2022 年度(2022 年 4 月~2023 年 3 月)」から引用したデータ、図表でご紹介していきます。なお、ここでいう首都圏とは、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を差します。

https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/545/sVD61gg.pdf

https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/543/2343s.pdf

   

まず、首都圏と近畿圏のマンションの月ごとの単価推移をご覧ください。3月にポンと価格が跳ね上がり一挙に1億円を超え、一挙に1億4600万円になったことがわかります。この理由は高額の大規模マンションが販売されたためとされています。近畿圏ではむしろ平均単価が下落していますので、これは首都圏特有の事情があるのかもしれません。

   

一方で月間販売戸数については3月が特に多かったということがなさそうです。このグラフからはマンションが最も多く販売されるのは年末であることもわかります。

次に気になるのは実際の単価の内訳を見てみましょう。

左の図は1億円以下は1000万円単位で、1億円以上は1億円単位で価格帯を分けた場合の発売戸数と販売戸数を示しています。1億円以下の価格帯における最多価格帯は「5000万円以下」でした。一方で1億円以上では、「3億円以上」が最多価格帯でした。しかも注目すべきは「1億円以上」のマンションの成約率の高さです。むしろ「1億円以下」を上回っています。

右の図は、さらに価格帯をすべて億円単位で分けた場合の価格の分布を示しています。こうしてみると全体でみれば「1億円以下」の価格帯が販売戸数では66.8%、販売戸数では63.1%と過半数を占めていることがわかります。首都圏の平均単価が1億4600万円というのは、少数の高価格帯マンションにより全体の平均が釣り上げられた結果であると言えます。

それでは地域別にみるとどんな様子でしょうか?東京都23区内、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県の供給戸数、契約率、平均単価、平米単価とそれぞれの前年同月比を示します。

全てのグラフを通じて非常に特徴的なのが東京23区です。供給戸数も契約率も、平均単価も平米単価もすべて群を抜いています。しかも、前年同月比でみても供給戸数、平均単価、平米単価の増加率が群を抜いています。供給戸数の前年同月比では、東京都下、神奈川、埼玉は前年よりも減少しています。いかに都心のマンションの需要が旺盛なのかが理解できます。今回の首都圏マンションの平均単価1億円超えは、この都心マンションの超のつく人気がもたらしたものと推定できます。

こうした傾向は、ここ数年の推移にも現れています。首都圏の平均単価の推移と2016年から2022年にかけての上昇率を下図に示します。

左の図においては、赤線で示した東京23区の平均単価が他の地域に比べ、2020年以降際立って上昇していることがわかります。右図では、そうした23区内の平均単価の上昇が、首都圏平均単価を大きく引き上げていることもわかります。東京23区内だけみればバブルの再来という言葉さえ思い浮かびます。首都圏と言っても都心のマンションに人気が集中し、価格も急上昇中で、供給戸数も多いというのが実態です。

残念ながら、こうした都心のマンションブームによって塗料需要が伸びることはほとんどありません。最近の新築マンションでは塗料の使用される場所が限られているからです。とはいえ、家具や家電など関連需要に好影響が及ぶ可能性がありますので、マンションの需要動向は気にはなります。と同時に都心の高級マンションだけに人気が集中し、飛ぶように売れていくという状況ですが、一体どんな人が購入しているのか想像の範囲外です。

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