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かんとこうブログ

2023.06.22

金額的にはコロナ前のレベルに回復?・・業況観測アンケート5月の結果

一昨日、日本塗料工業会から業況観測アンケート5月調査結果を受領しました。すでに組合員の皆様にはFAX等で送付しております。5月は数量金額とも前年同月比は好調さをうかがわせる数値となりました。各需要分野別の金額の前年同月比、全体数量の前年同月比を下表に示します。

需要分野別販売金額の前年同月比は、木工を除きすべて100を上回っています。この販売金額の前年同月比が100を超えるのは、建築外装、船舶・構造物、電機・機械・金属では1年以上続いています。一方で、数量については、ここ1年以内では、前年同月を上回ったのが昨年の8月~10月のだけであり、右端の経産省確報ではここ1年以上昨年同月比が100を下回る状況が続いています。

つまり、数量と金額の乖離現象がまだ続いているということです。業況観測アンケートと経産省確報における全体の販売金額と数量の前年同月比推移を下図に示します。

業況観測アンケートは今年の5月まで、経産省は今年の4月までのデータをプロットしていますが、昨年来の金額-数量乖離現象はまだ続いています。また業況観測アンケートの5月が急上昇していることもわかります。いよいよ本格的な回復と成長が期待できるのでしょうか?

一方で心配なのは、数量の減少です。下図は塗料出荷量の推移ですが、15年ほどのスパンで見てもここ1年の詳細で見ても減少傾向が継続していると言わざるを得ません。

先月長期データを提示し、2000年以降で見ても塗料の出荷量は年間2万トンずつ減少していると推定されると書きました。金額の方に目が行きがちですが、数量の減少は本当に心配される傾向です。

一方の金額についても単に前年同期比の推移だけを見ていてよいのかという疑問がぬぐえません。下図も日塗工の資料から引用した需要分野別販売金額の前年同月比推移です。このグラフは2017年の後半から始まっていますが、2017年から2019年10月まではほぼ100前後で一定していましたが、消費税増税とコロナ禍により大きな落ち込みと急回復を繰り返し、2022年以降では、前年同期比が100を超えているケースが多くなっています。一見するとコロナ前よりも現在の方が良いのではないかというように見えます。本当にそう言えるのでしょうか?

このところ、業況観測アンケートの結果が出るたびに、2018年の各月=100として、各年の同じ月の前年同月比を掛け合わせた数値を調べてみました。2023年5月の指数値の場合計算は次式のようになります。

2023年5月の指数=2019年5月の前年同月比X2020年5月の前年同月比X2021年5月の前年同月比X2022年5月の前年同月比X2023年5月の前年同月比/(100^4)

販売金額全体の前年同月比累積値です。累積値の示す線の形は月によって違います。1月2月は2021年が最も落ち込んでおり、3月以降は2020年が最も落ち込んでいます。これは、コロナの本格的な感染拡大が始まった時期を思い出してただければ頷けるものと思います。しかし、ここで大事なことはそこではなく、2023年の全体および各需要分野の累積値がどこにあるかということです。理論的には、現在の累積値が100を超えていれば、販売金額が2018年のレベルまで戻っているということになります。

需要分野によって差がありますが、木工を除けば各分野とも3月以降は2018年の水準に戻っていると言っても良いのではないかと思われます。

同じことを数量について行えば、2018年に対する現在のレベルがある程度定量的にわかると思われますが、残念ながら、業況観測アンケートにおいて需要分野別の数値があるのは販売金額だけであり、試算してみることができません。

数量全体としては、上で見たようにほぼ一方的な減少であるため累積値はかなり低い数値を示すと思われます。

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