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かんとこうブログ

2023.07.13

「日本は現金通貨量が多い」は本当か?

昨日書いた「為替はお互いの国の通貨量できまる」についていろいろと調べているうちに、「日本は現金決済が多い」「日本は通貨発行量が多い」ということが書いてあるのを見つけました。前者の「現金決済」については、その通りだとしても、後者の「通貨発行量」については本当かなと思いましたので調べてみました。こんなことはChatGTPに聞けばすくに答えてくれそうに思いますが、これまでの経験から、定量的な回答はしてくれそうもないと思いましたので自分で調べてみました。

昨日の為替のための調査で目にしたのは下図のデータでした。日本は現金(紙幣と貨幣)の流通量(対GDP比)が多く、カード決済の比率は低いというものでした。

左図が現金(紙幣と貨幣)の対GDP比、右図が現金(紙幣と貨幣)のGDP比とカード決済比率の散布図です。少し前のデータですが日本の現金(紙幣と貨幣)の対GDPは20%ほどでグラフに示された国では最も高く、カード決済比率は10%ほどで、メキシコに次いで下から2番目でした。確かに2016年時点では、現金の量が多く、カード決済が少ない国であったようです。

また左図からは、2010年と2018年を比較すると、日本はむしろ2018年の方が現金のGDP比が高くなっていました。となると、今はどうなっているのか調べてみたくなりました。

昨日の記事のために、現金通貨の量はすでに調べてありましたのでGDPの推移とともに示します。

昨日の日本のマネーストックM1のところで示したように日本の現金通貨量は増加の一途です。対してGDPはコロナ禍での落ち込みなどもあり、全体としては緩やかな上昇に留まっています。となれば通貨量の対GDP比がどうなるかは簡単に予測できます。そうです、下図のようにほぼ増加の一途になっていました。日本の現金通貨量対GDP比は依然として世界でも高い方であることは間違いありません。

一方、決済手段の方はどうなっているかというと、経済産業省から2022年のデータが今年の4月に発表されていました。(下記URL)

https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html 

   

カード決済を含むキャッシュレス決済の比率は年々増加し、GDPのうち約6割を占める民間最終支出の36%までになっていました。経産省としては「日本でもキャッシュレス決済が増えてきている」と言いたいのでしょうが、通貨量の比較には対GDP比が使用されることが多いようで、キャッシュレス決済金額をGDP全体と比べた場合には約20%ほどにしかなりません。冒頭ご紹介した2016年当時の各国のレベルと比べても高いとは言えない現状と判断すべきです。

キャッシュレス決済が増えても通貨発行量が減らない理由についてはよくわかりません。そこでChatGTPに聞いたみましたところ、意外な答えが返ってきました。ちょっと長くなるのでその話は明日書くことにします。

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