かんとこうブログ
2023.07.20
数量と金額は依然として平行線・・・業況観測アンケート6月結果
昨日日塗工から業況観測アンケート6月分の結果を受領しました。結果につきましては、組合員にFAXにて送付中ですが、例月のように手元でまとめた数値についてご紹介いたします。
昨年6月以降の需要分野別金額と全体数量の前年同月比及びに経産省確報の金額、数量の前年同月比の表を示します。業況観測アンケートは6月までの、経産省は5月までの結果です。
このところ乖離を続けている数量と金額は、まだお互いに平衡線を辿っています。原材料価格動向からするとそろそろ歩み寄りの気配を見せ始めるのではないかと考えています。
どうしても数量よりは金額の方へ眼が行ってしまうのですが、実際のところ気になるのは数量の減少です。コロナ禍の落ち込みという特殊要因はありましたが、下図上段の2008年以降の12か月の移動平均値推移(日塗工資料より転載)でみると明らかに減少傾向はいまだに継続しており、下図下段の直近12カ月で見ても減少傾向に歯止めがかかっているようには見えません。
一方金額の前年同月比推移はこれも日塗工資料からの転載ですが、コロナ禍の落ち込み期間が1年程度に見えてしまい、ずっと以前にコロナ禍前に回復しているような印象を与えてしまいますが、実際のところは少し違うと思います。
少し違うと思う理由は下図です。上図は単に前年同月比をプロットしているだけですが、下図は2018年以降の各月の前年同月比を掛け合わせていった数値をプロットしています。2018年各月=100として以下の式で計算しています。
2023年6月の指数=2019年6月の前年同月比X2020年6月の前年同月比X2021年6月の前年同月比X2022年6月の前年同月比X2023年6月の前年同月比/(100^4)
理論的には2023年6月が2018年の6月に対してどのくらいの数値になっているかを示しています。ただしこの方式の問題点は月毎に結構差があることですが、こうして計算した累積値のプロットの1~6月までをみると、少なくとも2023年に入ってからは全体的に2018年の水準に回復していることは読み取れます。ただし、上図とくらべると回復した時期は早い月でも昨年、遅い月では今年という状況であると読み取れます、
このようなややこしいことは邪道かもしれませんが、繰り返し書いているように、前年同月比は基本的には平時の指標であり激変期には適さないところがあること、とりわけ大きな落ち込みのあとの回復を過大評価する傾向にあるということを改めて申し上げたいと思います。