かんとこうブログ
2023.08.01
世界のTOP3の第二四半期決算・・そろって大幅増益
7月25日にSherwin WilliamsとAkzoNobelが第2四半期の決算を発表し、世界のTOP3の決算が出そろいました。第1四半期は、「三社三様」と全体を表しましたが、今回は「そろって大幅増益」とまとめることができそうです。以下にそれぞれの決算をご紹介していきます。売上の多い順にご紹介します。最初はSherwin Williamsです。
PowerPoint Presentation (q4cdn.com)
Sherwin Williamsは第1四半期から増収大増益でしたが、第2Qに入っても好調を維持しています。とりわけ同社の基幹部門である北南米併せて4000の直営店からなるペイント店グループは依然好調です。旧Valsperの機能性塗料グループも高い利益率を維持しています。コロナ禍では不採算に苦しんでいた消費者ブランドグループもようやく利益を回復してきており、このままだと2023年も首位の座は譲らないと思われます。(Coatings Journal誌が同社の売上における塗料以外の部分をどう評価するかは別問題ですが・・)
分野別・地域別の需要動向、2023年通年の予想は下記のようになっています。
第2四半期は、ペイント店グループが新築住宅用を除き二桁アップ、消費者ブランドグループは、中国の不振が依然尾をひいていますが、南米・EMEAが二桁アップ、機能性塗料(工業用)グループは、自動車補修、一般工業、木工用のグループとPCM,包装のグループとに明暗が分かれました。
第3四半期、通年の予想は意外に厳しい感じになっており、消費者ブランドグループは通年でマイナス予想になっています。
続いてPPGです。2Q 2023 PPG Earnings Presentation (q4cdn.com)
PPGも前年比で見ると微増収大増益となっています。特に工業用部門の前年比利益が+60%とすさまじい数字になっています。個々の需要分野の動向は下で述べますが、やはりこれまで原材料価格の高騰による製品値上が、高収益を支えていることが間違いありません。 売上への寄与をみると数量はマイナス、価格がプラスとなっています。
売上金額でSherwin Williamsと比較すると、やはりまだ及びません。ただ為替にもよりますが2023年の売上が2兆円を超えることは間違いないと思います。
需要分野別動向では、第2四半期から第3四半期にかけて自動車新車、船・防食、路面はダウン、建築EMEAはアップということですが、全般に航空、自動車を除く工業用は世界的に軟調で、その陰には昨年の中国市場の低迷があるとしています。
最後はAkzoNobelです。Investor update Q1 2023 (akzonobel.com)
AkzoNobelは第1四半期においてもこの3社の中では最も売上の前年比が低かったのですが、第2四半期は各部門、全社とも売上金額前年比がマイナスになってしまいました。反面、調整後のEBITDAは第1四半期に比べ大きく改善され大幅増益となっています。増益の幅こそ違え、TOP3の第2四半期が大幅増益なのです。
AkzoNobelの2023年上半期実績と通年予想は上表のようになりました。通年でみると建築塗料は地域別に中国は完全回復、南米、南アジアは回復、EMEAは依然低迷、工業用では、自動車、船・防食は水面上ではあるがややダウン、一般工業、粉体は依然水面下に留まるという感じです。
最後にいつも引用している原材料費の高騰累積金額と製品価格の累積値上額の対比図を示します。原材料費の高騰は収まったようで、第2四半期では、原料価格はややダウン、製品価格はややアップとなり、これが大幅増益の大きな要因かと思われます。2021年初からの累積額で製品価格値上の方が少し上回ったようです。