かんとこうブログ
2023.08.10
電車内でもマスクをしない人が増えましたが、コロナはじわじわと増えています
猛暑の中でも4年ぶりに復活した各地の夏の行事に多くの人が出かけている様子が報じられています。また夏に入り電車内でマスクをつけない人が急に増えたような気がしています。しかし、新型コロナ感染症は終わったわけではありません。新型コロナウイルス感染症の現在地をできるだけ客観的に見ていきたいと思います。
データは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」という報道発表資料(8月4日付;下記URL)です。
https://www.mhlw.go.jp/content/001131133.pdf
5月8日の第5類への移行に伴い、新規感染者数の発表がなくなり、かわりにインフルエンザなどの流行の指標として使用される定点(医療機関)あたりの報告数が用いられるようになりました。5類移行以前にもこの定点あたり報告数は新規感染者数とともに集計されていましたので、過去の感染拡大期の定点報告数と現在の報告数を比較することで感染状況のおおよそを把握することができます。(下図左)また入院者数については現在でも調査がされていますので、過去のデータと直接比較ができます。(下図右)
いずれも点線で示した5類移行時点から徐々に増加していることがわかります。そして最新値の7月最終週において、定点報告数も新規入院者数も、今年1~3月の第8波のピークの半分ほどの値になっています。これは決して安心できる状態ではないと思います。
厚労省の資料には都道府県別の定点報告数の推移が表で示されていましたので、グラフ化してみました。縦軸を合わせていますので、傾きが急なものは増加も急激であることを示しています。
6月下旬から7月末までの推移を示していますが、沖縄県を除き徐々に増加しています。傾向としては冬型の気圧配置のように西高東低となっています。沖縄は6月時点で際立って報告数が多かったのですが、急激に減少し、7月末時点ではほぼ全国平均なみになりました。
5類移行の報告数について年代別に解析した表も載っていましたので、これもグラフ化してみました。
10歳未満が際立って多くなっています。かつて感染の主流であった高齢者は最も少ない部類に属します。感染の主体が幼児・児童および中年層に移行しています。これは感染に対する意識の差のようにも思えます。
最後にもう1枚図をお見せします。これは札幌医科大学のサイト(下記URL)から引用したものです。同大学では、過去の蓄積データをもとに、定点報告数から新規感染者を推定する方法を独自に確立し、その結果を公表し続けています。7月30日時点での過去7日間の都道府県別新規感染者数を地図上に表しています。
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan_estimate.html
ここでもやはり感染者数は「西高東低」であることがわかります。そしてなによりも重要なことは、ここで推定されている新規感染者数は、いずれの都道府県もかつて定められたレベル4(感染拡大期)を大きく超えているということです。この先どう推移するかはともかく、全国的に定点報告数が増加し続けていること、そしてすでにかつてのピーク時の半分くらいまできていることは頭にいれておくべきだと思います。