かんとこうブログ
2023.08.18
塗料製造所は日本に何か所あるのか?・・経産省の経済構造実態調査結果発表
7月31日に経産省から「経済構造実態調査2022年」の二次発表があり、久々に製造事業所調査のデータ(実質は2021年度の実績)が公開されました。これは2020年まで毎年8月に発表されていた工業統計表を引き継ぐ形のものであり、「品目編」「産業編」「地域編」の3つのファイルからなり、それぞれの観点で数値を整理しています。今日以降折々に少しずつこの内容をご紹介していきたいと思います。
最初は都道府県別の塗料製造所の数からです。この塗料製造所の数というのは日塗工でも調査結果がありません。唯一経産省のこの調査だけです。
表題の「塗料製造所は日本に何か所あるのか?」の答えは、今回の結果から456か所であることがわかりました。都道府県別の14位までは以下のようになりました。
左側の事業所数では、大阪、兵庫、埼玉の3府県が僅差で争っています。またそこで働く従業員数では埼玉が大阪を僅差で抑えて最多となりました。上のグラフにデータを示した14都府県で、事業所数では全国の83%、従業員数では同全国の91.6%を占めています。日本の場合、塗料工場は地理的にはかなり偏って存在していると言えるでしょう。
ところでこの事業者数と従業員数ですが、以前の工業統計表のデータと比較すると少し数値にギャップがあります。2019年のデータは以下のようでした。(2020年のデータはどこかにあるのかもしれませんが、見たことがありません。)
2019年の塗料製造所の数は全国で373か所、従業員数は17131名でした。コロナ禍の影響(おそらく従業員数減)を考えれば、従業員数はほぼ一致していると考えることができますが、事業所数は80カ所以上増えており整合性がありません。この点については、2019年までのデータが従業員4名以上の事業所の調査であったのに対し、最新の調査では従業員1名以上の事業者が対象ということが要因として考えられます。つまり従業員1~3名の事業所が新たに調査対象となったことで事業所数が一挙に80程度増えたものの、従業員数はさほど変化がなかったと(1カ所2名としても増加は170名弱)考えれば辻褄は合います。
ところで2000年以降の事業所数と従業員数の推移は以下のようになっていました。事業所については減少傾向が継続していたものの、従業員数は2011年頃を底として回復してきていました。コロナ禍のデータがありませんので一概に言えませんが、これらの結果が継続性を保持できていると仮定すれば、2021年はコロナ禍前よりも減少したということになります。このあたりは追加で調べたいと思っています。
今回発表になった資料には、塗料の種類別製造事業所のデータが載っていましたのでこれも紹介しておきます。これはかなり重複していますので、各都道府県の合計数字は参考値に過ぎません。しかし、各都道府県に例えば溶剤系塗料の製造所が何カ所あるのかはわかります。
今日は事業所数と従業員数だけをご紹介しましたが、この経済構造実態調査は実に様々なデータがあります。折を見て順番にご紹介していきます。