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かんとこうブログ

2023.11.14

ダイセルの太陽光超還元技術について

最近テレビで興味深いコマーシャルを見ました。ダイセルが太陽光超還元で二酸化炭素から化学原料となる一酸化炭素と酸素を製造できるというものです。早速調べてみました。今日はダイセルのサイトから引用して、この超還元技術についてご紹介したいと思います。

今日の内容は全て以下のダイセルのサイトから引用したものです。

https://www.daicel.com/nanodiamond/

    

この太陽光超還元というのは、実は「ナノダイヤテクノロジー」という一連の技術のひとつのようです。超高温、超高圧条件を超短時間のうちに作り出すことで、異原子をドーピングしたとても小さな(ナノサイズ)のダイヤモンドこそが、この技術の中核物質です。

   

ダイセルは、過酸化物を用いた酸化反応が得意であり、火薬、爆薬も製造でき、関連会社で銃弾なども製造しています。また、車のエアバッグを瞬時に膨らますインフレーターと言う装置も製造しており、一瞬にして超高温、超高圧環境を作り出す技術は、そうしたものを作り続けてきた技術と経験の上に出来上がったものと思われます。

   

異原子ドーピングというのは、炭素原子の結晶体であるダイヤモンドの生成時に異原子を少しだけ混入させることであり、この異原子によって、通常のダイヤモンドにない機能が発現します。これらを説明した図が下図になります。

   

この図では異原子ドーピングによって発現する3つの機能が述べられています。ひとつ目は冒頭で述べた太陽光超還元機能、二つ目がケイ素原子をドープしたことによる生体親和性の発現を利用した細胞バイタルセンシング機能(体内細胞情報収集)、そして三つ目がナノダイヤモンドを基板上に精密に配列する技術の利用です。

   

この異原子をドーピングする方法は爆轟法と呼ばれる方法であり、TNTやRDXという爆薬とともに特殊な構造をもった異原子をまぜ一挙に爆轟環境(超高温、超高圧環境)にすることで異元素ドープナノダイヤモンドを生成させています。(下図)

   

  

ところで、ナノダイヤモンドはその名の通り圧倒的に小さな人工ダイヤモンドですが、この小ささによるメリットは下図で説明されています。

   

   

ナノサイズであることのメリットは単位重量あたりの個数が極めて多く、それゆえに表面積がとてつもなく大きくなることです。直径4センチメートルのダイヤと4ナノメートルのダイヤを比較するとその直径差は10の7乗にもなります。単位重量あたりの表面積は球体の直径に反比例しますので、4ナノメートルのダイヤモンドは4センチメートルのダイヤモンドの1000万倍の表面積を持っていることになります。触媒作用においては、この大きな表面積が作用する面積が大きいことを意味しますので、圧倒的に有利になります。

とここまでナノダイヤモンドについてご紹介してきましたが、ここからは異元素ドープナノダイヤモンドを使った太陽光超還元についてご紹介します。テレビのコマーシャルはこの部分のみを紹介していることになります。

窒素ドープのナノダイヤモンドを還元触媒として使用することで、二酸化炭素を一酸化炭素と酸素に、水を水素と酸素に分解することができます(赤線内)。この分解物のうち一酸化炭素と水素からメタノールを合成し(青線内)、さらにメタノールを酸化することで酢酸やホルムアルデヒドといった化学の基礎物質を作り出す(緑線内)ことができるのです。出発物質は二酸化炭素と水ですので、地球上いたるところに存在し大量に存在しているだけでなく、地球温暖化の原因である二酸化炭素を有用な資源として活用することができるのです。

さらにこの技術の優れているところは従来の触媒技術がその表面でしか機能しなかったのに対し、表面を離れた空間で三次元的に作用することであり、この三次元作用は水和電子が周囲の空間に放出されるためと説明されています。(下図)触媒作用が極めて高効率なのです。

さらにこの還元技術では、従来技術で必要であった電力使用の必要もなく、理論的には太陽光の照射のみで半永久的に反応が可能という文字通り超還元なのです。(下図)

こうしてご紹介してきましたが、どこから見ても大変に優れた技術であることは間違いなさそうです。二酸化炭素資源化のエースとなり、温暖化問題解決の救世主となってくれることを期待してやみません。

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