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かんとこうブログ

2024.04.01

紅麹による腎疾患の原因?とされるプベルル酸について

3月29日に厚生労働省から、紅麹による腎疾患をはじめとする健康被害に関して、未知の有害性物質の候補としてプベルル酸なる物質が検出されたと発表がなされてようです。聞いたことがない名前でしたので、どんなものか調べてみました。その過程でちょっと気になる見解の記事もありましたのでそれも合わせてご紹介したいと思います。

まず報道内容は以下のような内容でした。

訴えのあったロットというのは昨年9月以降のものを指すと思われますが、そこで「プベルル酸」なる物質が検出されたとあります。化学屋の端くれとしてはどんな構造か気になりましたので、調べてみました。こうした物質は意外にもウイキペディアが頼りになります。ベンゼン環よりひとつ炭素の多い七員環化合物でした。

またこの性質としては以下のように書いてありました。毒性については③に記述があり、5mg/Kg2回の皮下投与で5匹中4匹のマウスが3日目までに死亡とありますので、合計10mg/Kgの投与量で80%のマウスが死んだわけですから、かなり毒性が強いと言えるでしょう。(毒物の経口摂取での基準は50mg/Kg)

この投与量を人間にあてはめると、体重60Kgの人出あれば300mgを接種すれば生命を失いかねないということになります。

一方で、とても気になるコメントもネットで見つかりました。読んでみて合理性が高いと思いましたのであえてご紹介します。「はまぎく」さんという個人のサイトです。下図に示すようなご指摘をされています。

ご指摘を要約すると、プベルル酸の細胞毒性値から見て、相当に高純度のものが多量に混入されないとこうした数値に達しないのではないか?つまり意図的に混入を疑わなければならないほど、不純物としての混入は考えにくいのではないか?仮にこのプベルル酸が原因で腎毒性症状が起きたとするのであれば①プべルル酸の代謝は肝臓で分解される量が乏しく主に腎代謝となること、②「血中濃度が中毒量以上となる摂取量」がサプリ中に存在すること、③急性腎障害が出現する中毒域が相対的に低目であること を証明する必要があるのではないかということでした。

問題の紅麹サプリの3錠中の紅麹ポリケチドの含有量は2mgです。不純物としてプベルル酸が混入したとすればせいぜい1%あるいは0.1%の量ではないかと思います。仮に1%とすると毎日のプベルル酸の接種量は0.02mgとなりますので、1年間では7.3mgになります。

一方で細胞毒性IC50は57.2μg/ml(≒mg/Kg)ですので、体重60Kgの人では、57.2*60=3420mg接種すると半数が細胞毒性を生じることになります。この3420mgと先ほどの推定年間接種量7.3mgのあいだには大きな懸隔があるということなのです。

朝日新聞で関連記事を読みましたが、どの程度の量であったのかという点は全く記載されていませんでした。専門家も多くいる厚生労働省ですので、それなりの論拠があっての発表だと思います。是非こうした数量的な事項についての疑問に対しても情報開示をしていただきたいと思います。

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