かんとこうブログ
2024.04.16
消費動向よりも面白い耐久消費財調査
4月10日に内閣府の消費動向調査令和6年3月調査結果が発表になりました。消費者態度指数が前月よりもわずかにあがり、消費者マインドは改善傾向にありますが、毎年3月の調査結果には耐久消費財の普及動向が掲載されていて、とても興味深く感じています。昨年に続き今年もこの耐久消費財に関する調査結果をご紹介します。消費者態度指数などについては、下記URLからご参照ください。本ブログでは割愛させていただきます。
耐久消費財といえば世帯あたりの普及率動向が気になります。1995年から2024年までの世帯あたり普及率(1台以上保有している世帯の割合)推移をカテゴリー別に示します。最初は冷暖房器具・住宅関連器具です。
全体に普及率は右肩あがりですが、ファンヒーターのみ2005年をピークに減少傾向です。ルームエアコンは約90%、温水便座は約80%、洗髪洗面化粧台は約75%の普及率になっています。続いて映像・デジタル機器です。
薄型テレビはほぼ全世帯に、パソコンは全世帯の4分の3に普及しています。一方、光ディスクプレーヤー、ビデオカメラ、デジタルカメラは頭打ちから減少へ転じています。携帯内蔵カメラの著しい進歩がその背景にあるように感じます。続いて家事用品・通信機器です。
ここで目を引くのはスマートフォンの急増とスマートフォン以外の電話の急落です。携帯電話はほぼ飽和に達しました。ファクシミリは2007年をピークに減少に転じ、衣類乾燥機はこのところ頭打ち、温水器は横ばいといったところです。食器洗い機はじわじわと増加中です。最後は自動車です。
乗用車全体は、わずかに減少傾向です。ちょうど人口がピークを迎えた2006年あたりが頂点だったようです。新車は減少傾向、中古車は増加傾向です。
以上が世帯あたり普及率ですが、世帯あたり台数という統計もあります。100世帯あたりの保有台数という観点で見るとまた違った普及率がわかります。下図は2人以上の100世帯の保有台数です。
1世帯に2台以上保有されているものが4つありますが、携帯電話とスマートフォンについては重複があると思われますので実質ルームエアコン、携帯電話、薄型テレビの3つです。1世帯に1台を超えて保有されているのが乗用車、パソコン、温水洗浄便座、光ディスクプレーヤーです。最低はスマートフォン以外の電話でわずか19台しか保有されていませんでした。時代を感じます。
さらに興味深かったのは、平均使用年数と買い替えの理由です。どちらも図示します。
左図は平均使用年数です。最長はルームエアコンと電気冷蔵庫がほぼ同じで14年です。続いてビデオカメラ、テレビと続き、乗用車は9年、パソコンは8年弱、携帯は4.5年でした。これは直感的に一致するように思います。
右図は買い替えの理由ですが故障が買い替え理由の過半数であるものが多く、ある程度使用年数が経過したものの場合は故障を契機に買い替える傾向があることを示しています。これに当てはまらないのはビデオカメラ、乗用車、携帯電話で、ビデオカメラは別として、乗用車と携帯はいずれも利便性を提供してくれる機器という存在に留まらず、より深く個人の趣向に強く影響される存在という点で共通するものがあります。
SDGsの国別評価において日本は電気製品の使用期間が短すぎると指摘をうけています。世界的にみると日本の耐久消費財の使用期間は短いと思われます。今の日本では故障したときに、修理して使い続けるという選択肢が少ないようにも思います。一方耐久消費財はどんどん高機能化しており、そうした高機能のメリットを享受したいというのも自然な感情かとも思います。簡単に答えはみつからないでしょうが、これもまたSDGsの課題のひとつとして考えなかればならない問題には違いありません。