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かんとこうブログ

2024.06.12

令和5年人口動態調査結果について その1

今月5日に厚労省から令和5年の人口動態調査結果が発表になりました。これは月ごとの数値を合計したものでまだ確定数値ではありませんが、ここから大きく動くことはありません。メディアでは「出生率が1.20と過去最低を記録した」とか「都道府県別では東京の出生率が0.99となった」ということなどが大きく報じられました。しかし、この人口動態調査結果は、実際に眺めてみるともっと面白い情報がありましたので、その全容を今日と明日の2日間にわたってご紹介したいと思います。データ、グラフはすべて厚労省の以下のサイトから引用しています。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/kekka.pdf

   

最も重要な令和5年における出生数と死亡数ですが、出生数は72万7277人、死亡数は157万5936人であり、自然増減数は84万8659人でした。生まれた人の倍以上が亡くなっていることになります。またこのペースで推移すれば10年間で約850万人、20年間では1700万人も人口が減少することになりますが、実際にはもっと早い速度で人口が減少していくと予想されています。また婚姻件数は47万4717組で前年よりも減少、逆に離婚件数は18万3808組で前年よりも増加しています。ますます人口維持には難しい方向へ進んでいるようです。それでは項目別に詳しくみていくことにします。

最初は出生数と合計特殊出生率の推移です。合計特殊出生率とは一人の女性が生涯で何人の子を出産するかという数値で、人口を維持するためには2.1以上が必要とされています。

出生数は令和5年からちょうど50年前の昭和48年をピークに減少を続けています(縦棒グラフ)。これに呼応して合計特殊出生率も減少傾向ではありますが、2005年から2015年頃までは若干回復傾向にありました。出生数は減少を続けていたものの、2006年以降人口が減少した始めたことも要因のようです。しかしその後は再び減少を開始し、以前を上回る速さで減少しています。

これを出生順位別に見ると以下の図になります。これは図がありませんでしたので厚労省のデータをもとに作図しました。

2023年と1985年の合計特殊出生率を比較すると、出生順位としては第2子が最も減少しており、ついで第1子、最も減少が少ないのが第3子以上の出生率でした。1人目の出生も減少しているが2人目の出生はもっと減少しているということになります。そしてその割には3人以上の兄弟の割合はさほど減っていないということです。

続いて母親の年齢別(下左図)と都道府県別(下右図)合計特殊出生率です。

母親の年齢別では、かつて最も多かった25-29歳が30-34歳よりも少なくなりました。これは後述する結婚年齢の高年齢化によるところが大きいものと思われます。グラフをじっくりみてもらうと、30歳を境界として、それよりも若年層が減少の一途であるのに対し、それ以上は増加の傾向にあり、40~44歳についてもこのグラフからでも増加が読み取れるほどの数になっています。医療技術の進歩により高年齢出産の難易度は下がってきていることも要因のひとつと思います。

一方都道府県別では、東京のみに焦点が当たっていますが、こうして眺めれば西高東低であることが一目瞭然です。東京についで低いのは北海道1.06、宮城1.07,秋田1.10、京都1.11、神奈川1.13、埼玉1.14、千葉1.14と続きます。こうしてみると東京圏という要因が大きいことは確かですが、秋田の数字からが高齢化率という要因も見えてきます。そのほか出生率が最も高い沖縄のように地域ぐるみの子育て習慣という要因も無視できないものと思われます。

以上で出生をおわり今度は死亡についてです。死亡数および死亡率(人口1000人あたりの死亡数)の推移をご覧ください。

これまで最低の死亡数は昭和41年(1966年)67万342人、最低の死亡率は昭和54年(1979年)の6.0でした。令和5年では、死亡数が157万5936人、死亡数が13.0でした。いずれもここ50年ほどは増加の一途ですが、年代に見ると75歳以上の割合がどんどん高くなっています。これはとりもなおさず全体の高齢化、言い方をかえれば高寿命化といえるでしょう。今後もまだしばらくはこの傾向が続くものと思われます。

本日最後のデータは男性と女性の死亡率の比率です。各年代で人口10万人あたりの死亡率を計算し、その男女比(男性死亡率/女性死亡率)の表からグラフにしてみました。圧倒的に男性の死亡率があらゆる年代で高いことがわかります。

特に65歳から74歳まで、まさに私の年代ですが、なんと男性の死亡率は女性の2.54倍ほども高いのです。女性が男性よりも長命であることは周知の事実ですが、この年代の死亡率がここまで違うというのは驚きでした。

明日は、死亡の原因、同性別・年代別、結婚・離婚などについてご紹介します。

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