かんとこうブログ
2024.06.13
令和5年人口動態調査結果について その2
本日も昨日に引きつづき令和5年人口動態調査結果についてご紹介していきます。
今日の最初は死因の内訳です。
悪性新生物(がん)が最多で約1/4、ついで心疾患、老衰となっています。この年次推移については下図をご覧ください。
さきほどの上位3つは、このところ増加傾向にあることが判ります。医学の進歩にも拘わらずガンによる死亡率が増加していることについては、長寿命化によりガンになる人の割合が増えていることが要因のようです。赤い矢印は特殊要因による変化があったことを示しており、1995年では死亡診断書の書き方に対する指導により心疾患が減少し、脳血管疾患が増加したと推定されています。また2017年でも死因選択に対するルールの明確化により肺炎が減少し、心疾患が増加したと推定されています。
最頻死因要因の悪性新生物(ガン)ですが部位別に死亡率のデータも記載してありました。
かつて最多であった胃ガンの死亡率は大きく減少してきており、一方で肺、大腸、膵臓の割合が高くなってきています。これも長寿命化によってガンになる人が増えてことが一番の要因と思われます。男性と女性では部位別の順番が異なっており、男性で肺、大腸、胃、膵臓、肝臓の順番ですが、女性では大腸、肺、膵臓、乳房、肝臓、子宮の順になっています。
翻って他の死因も含めて性別・年齢階級別死亡要因の図も掲載されていました。
ガンによる死亡は男性は65~74歳で最も多く、女性はそれより若い55~59歳で最も多くなっています。心疾患については男性は50歳以上ではあまり年代による差が見られないのに対し女性は60歳までは比較的低く、それ以降高くなる傾向にあります。老衰は80歳以上で年齢とともに増加していきます。この図で最も痛ましく感じるのが10代後半から40代までの最多要因となっている自殺です。特に20代では死因の半数以上を占めています。
以上で死亡を終わり、結婚に移ります。初婚の妻の年齢というグラフがありました。昨日にご紹介して出生数とも関係があるらしくちゃんとグラフ化されていました。2003年、2013年、2023年の3年についての妻の初婚年齢の分布を示しています。
似たような形に見えるかもしれませんが、よく見ていただくと2003年と比べ2013年、2023年とも30歳以前の割合が減り、30歳以上特に30代中盤の割合が増えていることがわかります。つまり初婚年齢が遅くなっていることは明らかです。ただし、2013年と2023年を比較すると全体的は非常によく似た分布ですが、26歳前後の年齢では2013よりも2023年の方が高くなっています。逆に20歳前後では2013年の方が高くなっています。いずれにせよ20年前と比較すると初婚年齢が遅くなっていることは明らかで、次にご紹介するように平均すると29歳になります。
この図は都道府県別初婚年齢です。厚労省のデータをグラフにしました。メディアは東京の初婚年齢が遅いことを取り上げていましたが男女では少し差があります。女性は東京、神奈川を除きすべて29歳台でした、やはり「30歳までには」と考える人がかなりの数いるためではないかと想像しています。男性は、女性よりも差が大きくなっていますがいずれも30歳台以上となっており、特に高いのは東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏と茨城、栃木、山梨、長野、静岡、愛知、京都、高知、秋田、山形などが高くなっています。こうしてみると単に大都市圏という括りでは説明ができず、第1次産業従事者の花嫁不足という要因もあるように思います。
最後に離婚に関する統計です。これも少し予想外でした。
離婚率は高くなる一方だと思っていましたが、2002年をピークに減少を続けていました。離婚件数だけでなく離婚率も減少していました。それでも2023年では18万3808組が離婚しています。結婚したのが47万組ですので、比率で言えば結婚:離婚≒8:3になりますので決して少なくはありません。
同居期間別の離婚件数の表もありましたのでグラフ化してみました。1985年以降おおよそ10年毎の離婚件数を同居期間別に示しています。
全体として2002年がピークでしたのでどの同居期間においても2005年が最多となっていますが、同居が25年以上になるとじわじわと増えてきているのが面白いと感じました。俗にいる定年離婚というものでしょうか?もちろん、同居期間が長くなれば離婚の件数が減るという傾向には全く変わりはありませんでした。
昨日、今日とメディアがあまり紹介しなかった「人口動態調査」の結果をご紹介しました。何らかの参考になれば幸いです。