かんとこうブログ
2024.06.11
がっちりマンデー!で紹介された佐竹マルチミクス株式会の攪拌装置について
6月9日の日曜日、朝7時半からの情報番組「がっちりマンデー!」で、攪拌装置の老舗企業として佐竹マルチミクス株式会社とその製品が紹介されていました。紹介されていた攪拌の事例は、もちろん塗料ではありませんでしたが、内容を見てこれは塗料にも使えるはずと思い調べてみました。寡聞にして知りませんでしたが、この会社は創業100年を超える老舗企業で製品紹介を見ると、とても面白そうな装置を生産していました。今日は同社が塗料用として紹介している装置の中から興味を覚えたものをいくつかご紹介したいと思います。
これからご紹介するのはすべて同社の塗料用製品のカタログ(下記URL)からの引用です。
https://www.satake.co.jp/product/mixers/paint/
塗料用製品としては以下のものが紹介されていました。
この中から特に興味を惹かれたもの(赤枠で囲ったもの)をご紹介したいと思います。
最初は、とてもユニークなインペラ群からご紹介します。インペラ(攪拌翼)は言うまでもなく攪拌において大変重要な要素です。このカタログを見て特に感心したのは、いくつかのインペラが特許取得済であったことです。私は専門家ではないので詳しくはわかりませんので、個々のインペラについての説明は添付文章を読んでいただきたいのですが、一見してただものではなさそうな印象は持っていただけるのではないかと思います。
どうでしょう。いずれ劣らぬ無双の面構えだと思いませんか?しかも数多くの実験データの裏打ちされていることをうかがわせる合理性を感じます。これらのインペラの適用範囲はすべてレイノルズ数で規定されています。レイノルズ数とは、流体の特質を示す無次元数で、慣性/粘性で表されます。慣性は大きさと速度の積ですので、扱う流体が同じであれば、大きさや速度が大きくなるほどレイノルズ数は大きくなります。その流体が流動している状態で層流になるのか乱流になるのかを決定する数であり、レイノルズ数が一定の範囲より小さいときは層流、大きい時は乱流となります。
しかし、このインペラよりもさらに魅力的なものがありました。それがキャビティ間流体移送技術FDMです。
この装置は、攪拌中心部に設置された固定部であるステータとその上方に一定のすき間を保って高速回転するロータが主役になります。この両者はともに円錐状の形状をしており、さらに向かい合う面には1/4球状のくぼみが多数存在しています。(上図写真参照)高速回転するロータによって流体がすきまに吸引されせん断を受けながらすきまを通過するのですが、この時両側に存在するくぼみの内部で激しい渦が互いに逆向きの方向で発生し協力な分散・破砕効果が加えられると説明されています。(上図右図参照)説明を聞くだけで激しい渦に翻弄される流体が想像できるような気がします。
さらに今までご紹介してきたインペラとFDMを組み合わせた装置も紹介されていました。それが「サタケハイブリッドミキシングシステム」です。サブタイトルは「高性能攪拌装置のコラボレーション」とあり、文字通り先進のインペラとFDMを組み合わせた装置になっています。
「スーパーミックスMRシリーズ」の攪拌翼とFDMの「スーパーシェアミキサー」を組み合わせたものと言えば大方想像できると思いますが、この装置はスーパーシェアミキサーのポンプ作用を利用して外部循環もできるため、加熱も冷却も可能となります。大変に優れた装置だと思います。
こうした先進の装置は大変に魅力的なのですが、若干の懸念点があります。ひとつは価格であり、もうひとつは装置のスケール感です。塗料用にしては少し高級すぎる感じも受けます。強いて言えばファインケミカル用であって、一般の塗料を作るには小さいのではないかと思ったりします。しかし、ご紹介した情報はインク、塗料用というサイトに格納されていたカタログからの引用ですので、塗料も対象生産品目であるのは間違いないと思います。
蛇足ながら、先方の意向次第ではありますが、一度関塗工のセミナ―で紹介していただこうかと思っています。ですが、これを読んで興味をもたれた方はどうぞ直接同社にお問い合せください。なんの制約もありませんし、遠慮も不要です。
最後にカミングアウトします。実は私は「がっちりマンデー!」に出演したことがあります。今から14年前のことです。いろいろな機能を持つ塗料を紹介するという趣旨で撮影班がやってきました。撮影にはほぼ丸1日つきあいましたが、実際に放映されたのは15秒ほど。しかも全くこちらの意図とは違った箇所でした。要は視聴者が喜ぶものでないと放映対象にはならないということでしょう。当然社内での評判もよくなく、わたしの中では一種の黒歴史です。それなのに、今回こうして「がっちりマンデー!」の話を書くことになろうとは思ってもいませんでした。これもまた人生です。