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かんとこうブログ

2024.06.18

Gender Gap Report 2024における日本のスコア詳細

今年もGender Gap Reportが発表されました。昨年は世界の125位と過去最低となりましたが、今年は116位と順位を上げました。今日はメディアではあまり公表されていないスコアの詳細についてご紹介していきたいと思います。データは世界経済フォーラム(下記URL)からの引用です。

https://www.weforum.org/publications/global-gender-gap-report-2024/digest/

  

そもそもこのランキングは経済的参画・機会、就学(教育)、健康・寿命、政治的権限の4つのカテゴリーのスコアを単純合計して4で割った数字を総合スコアとしてランキング化したもので、この4つのカテゴリーのうち就学(教育)と健康・寿命は多くの国のスコアが1.0に近く差が僅少です。従ってランキング順位は経済と政治のカテゴリーで決まると言っても過言ではありません。下の一覧表を眺めていただくとそのことが理解されると思います。

メディアの見出しの中に「日本はG7中最下位」というものがありましたが、それはまさにその通りではありますが、以前からずっと最下位なので今頃見出しとしてはどうなのかとも思います。このGender Gap解消は伝統的に欧米が進んでいて、他の地域が遅れているイメージがありますが、地域別に見るとやはりそのイメージ通りになっています。(下図)

アジアの中では、フィリピンがずっと最上位にランクされていますが、その理由は経済と政治の面で女性の進出が進んでいるからです。日本が以前からランキングで非常に低い順位にいるのは冒頭書いたように経済と政治のスコアが低いためですが、では具体的にどのような項目でどのようなスコアであったのかを見てみたいと思います。

さきほどご紹介した4つのカテゴリーのなかにはさらに細かな項目があり、それぞれのスコアについてあらかじめ重みづけの係数をかけて集計しそれぞれのカテゴリーのスコアが計算される仕組みとなっています。

最初のカテゴリー経済的参画・機会は5つの細目によって構成されています。これら5つは労働参加率、同一労働における賃金、全体的な賃金格差、上級職員の男女比率、技能・技術職への進出です。技能・技術職に関しては今回スコアがついていませんでしたが、それ以外の4つについてはいずれも芳しいスコアではありません。数値もさることながら順位も全体の半分よりも下が多く、まだまだ労働における男女格差は解消されていないと言われてもしかたない状況です。

就学(教育)と健康・寿命においては、いずれの細目もスコアが高く、低い順位のものもなくはありませんが、全体に及ぼす影響はほとんどないと思われます。

経済とならぶ日本の課題は政治への女性の進出です。ここは3項目しかなく、極めて限られた地位に対する女性の割合で評価されます。すなわち現在の衆議院議員および大臣の女性比率と過去50年の首相の女性比率です。日本でも地方議員については女性の進出が進んでいるようにも思えますが、国会議員、それも衆議院に限られるとまだまだ少ないようです。ただし大臣については今の内閣では過去最多タイの5名が入閣しているため前年よりも改善されています。

上の表をグラフにしてみました。教育や健康・寿命に比べて経済と政治の低迷が際立っているのがよくわかります。

最後に日本についてのコメントをご紹介して終わりにしたいと思います。コメントも日本のスコアが相対的に低い経済と政治に集中しています。速効性のある対策は国会議員、大臣、首相への女性登用ですが、あわせて社会のあらゆるポジションで同等性が確保できるよう地道な努力とそれを実現するために政策が必要なのではないかと思います。

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