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かんとこうブログ

2024.06.25

SDGレポート2024 その2 順位は上がったが進捗は後退?

昨日は世界の状況についてご紹介しました。今日は日本の進捗について詳しくご紹介していきたいと思います。

日本のスコアは昨年の79.4からわずかに上がって79.9になりました。80まであと一歩で、80を超えると欧州以外では初めての80越えになりますので、決して悪くはないのですが、17の目標について個々に比較すると2つの目標でランクが下がっていました。4番目の教育と11番目の持続性ある街づくりです。

あとの15の目標についてのランクは変わりませんが去年まで二つあった緑の表示がひとつになってしまったのは寂しい気がします。特にランクを下げた2つの目標について、どの細目が後退したため評価が下がったのか調べてみました。

SDG4の教育ではいずれも数学の成績悪化が原因のようです。このうち15歳の成績落第者の%については依然として緑であり多少悪化したとしても大きな問題にはならないような気がしますが、詳しいことはわかりません。

一方持続性ある街づくりでは唯一家賃過重支払者の割合が増加し19%になったことがランク落ちの原因と思われます。このデータは2020年のものなのでコロナによる収入の減少と言う要素もあるのではないかとも思います。一過性であれば幸いです。

目標としてのランクは落ちていなくても細目では後退と評価されたものもかなりありました。全般的には進捗している細目の方が多いのでは、後退という評価は気になりますのでリストアップしてみました。

意外だったものをあげると、SDG2の飢餓の克服における栄養状態水準がオレンジ色であること、報道の自由、裁判の容易さ、財政の公開性が後退と評価されたことです。環境とは直接関係がないと思われる項目ですが、世界からはそのように見られているというのは残念に思います。

17の目標における日本の評価で最低ランクの赤は5つあります。この5つのレベルをあげることは日本のスコアや順位を上げることに大きく貢献するものを思われますので、ひとつひとつ細目とその評点を、世界最高のフィンランドと比較しながら見ていきたいと思います。

SDG5 性格差 これは先日のGender Gap Reportの再演です。日本は経済と政治の較差がまだまだ大きくフィンランドとは全ての項目で大きな差があります。続いてSDG12 作る責任、使う責任です。

以前から指摘されているように日本は電気製品の使用期間が短く使い捨てであると指摘されており、この項目は赤です。またプラスチック廃棄物の輸出も多く、これも赤です。中には緑の項目もありますが、この2つの赤を変えない限りこの目標のランクは変わらないのではないかと思います。続いて気候変動対策です。

この目標には4つの項目しかありませんが、日本はこのうちCO2の国内での排出と輸入に伴う排出、炭素税の水準の3項目で赤となっています。ただしフィンランドも日本と大差なく、この目標は先進国にとって厳しいものとなっています。続いて水中の生物です。

この項目は海洋生物の保存に関するものですが、漁業に関する項目が3つもあり、漁業国日本には厳しい目標です。評価基準についてはもう少し柔軟性を持たせるべきとは思いますが、フィンランドの評価をみると欧州ではこの評価基準でも緑ランクであることがわかります。最後は陸上の生物です。

生物多様性にとって必要な地域が保護されているかという項目が2つあり、さらに絶滅危惧種に関する項目があり、種の保存、生物の多様性保護がメインです。一方でクマや野生動物による被害も問題化しており、どう付き合っていくのかがあらためて問われることになります。

以上日本の評価について詳しくご紹介しました。単に全体のスコアや順位だけでなく、関係省庁にはもっと中身を伝える努力をしてもらいたいと思います。

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