かんとこうブログ
2024.07.05
「よい汗」と「悪い汗」
6月26日の生産性向上委員会において、講師のお1人が大塚製薬の方で熱中症に関する専門家としていろいろためになるお話をお聞きしたのですが、その中で「汗の原料は血液である」と聞いて正直驚きました。これまで漠然と体内の水分が滲んで出てくるのではないかと思っていましたが、決してそんな漠然としたことではなく、体温の上昇を感知した脳の視床下部が汗を出せと命令することで行われる精密な体温調節機能であることを知りました。
今日はこれからの季節大いにお世話になる汗について調べたことをご紹介したいと思います。とは言えあちこちネットで覗いてみたのですが、ほとんど花王のサイトから(下記URL)の引用になります。とても情報量が多く充実したサイトでした。お礼を申しげます。
https://www.kao.co.jp/8x4/lab/#01
まずは汗の成分とどのようにして汗がでてくるのかについてを説明します。
汗には塩分が含まれていることはよく知られていますが、そのほかにカリウムやマグネシウムなどの電解質や老廃物が含まれています。これら水以外の成分はどこからくるのかというと血液です。血液から赤血球や血小板などの成分を除いた血漿(けっしょう)が汗のもとのなっていますので、汗の成分は水も含めて血液由来なのです。
従ってこうした電解質成分はもともと血液の構成成分ですので、全部が汗として流れ出てしまうと体内に必要な量がたりなくなります。そうならないように汗の分泌部から皮膚表面まで移送される間に、体の中へ再吸収されるようになっています。ただし全部は吸収しきれないので、少量は体外に出てしまうため、汗を大量にかいた場合には塩分の補充が必要だと言われているわけです。再吸収された電解質はまた血液に戻されます、一時的に血液の濃度が高くなり量も少なくなりますが。失われた少量の電解質と水が補充されれば、基本的に血液の量は変わらないというわけです。
分泌部から体表面に至るまでの再吸収過程がうまくいかないと「悪い汗」になってしまいます。「悪い汗」とは中身が濃いため蒸発が遅い汗です。体温調節の効率が悪く、慢性肥料や熱中症の原因にもなります。この話はまたあとからでてきますので、ここではこのくらいにしておきます。
この汗をかくという体温調節機能は、すべての動物に備わっているわけでなく、人間と馬くらいしか備えていないそうです。汗のおかげで人間は狩りをして獲物をとることもできたとも書かれています。体毛の退化と引き換えに人間は汗という別な皮膚機能を獲得したのです。(下図)
この汗は、しかしながら自分の意志ではコントロールできません。脳の視床下部が体温の上昇を感知して汗腺に命令をだすのです。体温上昇だけでなく緊張や興奮によっても人間は汗をかきますが、それも脳の指令によるものであり、汗を自分の意志で制御することができません。(下図)
また汗は体一面同じようにかくわけではなく発汗量には部位別に差があります。より重要性の高い部位を熱から守るように発汗量が決まっており、最も発汗の多い部位は額です。言うまでもなく脳を保護するためです。同様な理由で体幹部に多く汗をかく傾向にあります。また男性と女性では男性の方が発汗量が多いのですが、これは筋肉量の差によるものと思われます。(下図)
始めの方で「悪い汗」の話をしましたが、「良い汗」もあります。「良い汗」とは水の量が多く、電解質が少ない汗です。さらっとしていて蒸発が早く、体温調節機能が高い汗です。この良い汗をかくようになるためにはどうしたらよいのでしょうか?
答えは簡単で、普段からよく汗をかくことだと言っています。これから本格的な夏がやってきますが、「良い汗」をかくため、普段から汗をかくことを厭わないようにしたいものです。