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かんとこうブログ

2024.07.06

パリへの道 その3 代表選手が発表されたが、さらに追加の可能性もあり

6月27日から30日まで陸上競技の日本選手権が行われ、その成績をもとにパリオリンピックの代表選手が7月4日に発表になりました。陸上の選手選考はかなり複雑でわかりにくいものであることは本ブログでもたびたびご紹介してきました。今回もそれぞれの種目ごとに選考の経緯などもあわせ、代表選手をご紹介していきたいと思います。

まず選考基準の概要からご紹介します。基準は一つではないことが基準を複雑にしています。基準の1番目は標準記録です。この標準記録は、大変高い水準の記録で、突破者がエントリー枠(出場可能選手数)を超えないように設定されています。そのように高いレベルの記録ですが、これをを突破すれば出場できるのかというとそうではありません。日本選手の場合には、条件がついており昨年の世界陸上での日本人最上位入賞者または日本選手権の上位入賞者でなければ即内定とはなりません。標準記録を突破し、世界選手権入賞または日本選手権で上位入賞というのが一つ目の出場資格を得る条件です。標準記録は高いレベルの記録ですので、通常、突破者の数がエントリー枠よりも少ないため、標準記録を突破していなくても世界ランキングにおける上位者は出場することができます。具体的には6月30日現在のランキングのエントリー枠内にランクされている選手ということになります。この出場エントリー可能数をターゲットナンバーと呼んでいます。

標準記録突破者と日本選手権以前の内定者、選考条件を下表に示します。赤字の選手はすでに内定している選手達です。黒字の選手はまだ内定しておらず今回の日本選手権で上位に入賞する必要がありました。

それでは種目別に選考経緯を推察していきたいと思います。男子のトラックからです。表中TNの横の数字がターゲットナンバーで出場できる選手数、RK2は6月30日現在の通常の世界ランキングの順位、RKはパリオリンピック用のランキングです。(RK2が複数の記録にもとづくより総合的な順位、RKがベスト記録による順位です)複数選手に出場の可能性がある場合にはJC=日本選手権の順位も併記しておきました。青地が代表選手、赤字が標準記録突破選手です。この表は基本的に世界ランキングの順に上から並べております。

注目された男子100メートルは、昨年の世界選手権で入賞したサニブラウン選手がすでに内定しており、日本選手権に出場しませんでしたので、大変な混戦となり、選考も大変複雑になりました。サニブラウン選手以外は誰も標準記録を突破していませんでした。日本選手権後の世界ランキングでは柳田、東田、多田、桐生、坂井の順になりました。日本選手権での順位は坂井、東田、柳田、デーデーブルーノ、桐生という順でした。結局坂井選手と東田選手が選ばれ、柳田選手と桐生選手はリレー要員となりました。世界ランキングの順ではなく日本選手権の1位と2位を選んだことになります。この選考の前提は坂井選手が最終的にはターゲットナンバーに入れるであろうということです。

これに比べると200mは明快でした。ランキングの順位と日本選手権の成績が同じですので異論の出ようがありません。400mも佐藤拳太郎選手が体調不良で決勝を棄権したものの、それまでの実績を認められてランキング通りの上位3名が選ばれました。800mから5000mまでは寂しいながら代表者なしです。トラック種目の中では世界から遠い種目です。

10000mも多少複雑です。5月に先行して行われた10000mのみの日本選手権の優勝者はランキング日本選手2番目の葛西選手でしたが、今回代表として発表されたのは日本選手権2位の太田選手でした。ただし葛西選手もぎりぎりのところでターゲットナンバー以内に入れなかった状況ですので、この後辞退者がでれば繰り上がりで出場できる可能性は高いと思います。同様に相澤選手にも可能性があるのではないかと思っています。

110mHはすでに内定していた泉谷選手が欠場しましたが、日本選手権上位に入った村竹選手、高山選手が順当に選ばれました。標準記録を突破していた野本選手は日本選手権5位となり代表を逃しました。

400mHも表を見る限り下刻上の様相ですが、小川選手が日本選手権の決勝で標準記録を突破して2位に入り見事代表の座を射止めました。このように日本選手権で標準記録を突破すれば、ランキングに関係なく出場できるようになります。3000mSCも内定済で欠場した三浦選手と日本選手権で優勝した青木選手が順当に選ばれました。

リレーについてはランキング順位が高いことに期待を持たれるかもしれませんが、これは今年の世界リレーの順位の影響が大きく、実力に沿ったものではありません。メダル確実などとは決して思わないでください。続いてフィールドとロード競技です。

フィールドはトラックに比べると数が少なく4名のみの選出となりました。高跳びの2選手はいずれも世界大会での実績があり順当な選出となりました。ランキング3番目の長谷川選手は辞退者がでると出場権が得られそうですが、日本選手権4位という成績が気になります。やり投げの新井選手も辞退者がでれば出場の可能性があるランキング順位です。マラソンと競歩は世界ランキングも標準記録も関係なく、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)と日本選手権の成績中心で選考されました。マラソンはMGCの1~3位、競歩も日本選手権に1~3位が代表となりました。競歩の3人は世界のトップ10にいますので期待したいところです。続いて女子です。

女子のトラックは中長距離とハードルだけになりました。いずれも順当な選出でした。100mHでは昨年標準記録を突破していながら日本選手権で4位となり代表を逃した福部選手が、見事に標準記録を突破して優勝し雪辱を果たしました。田中選手はここまで安定した成績を残してきたおかげでランキングで出場となりました。長距離の廣中選手の名前が発表に中にありませんでしたが、日本選手権も欠場しましたのでオリンピック出場は難しいのではないかと思われます。続いて女子のフィールドとロード競技です。

女子のフィールドは幅跳び、三段跳びとやり投げのみでしたが、走高跳と棒高跳びにも辞退者がでれば出場の可能性があります。やり投げでは日本選手権2位の武本選手ではなく、斎藤選手が選ばれました。ここではランキング重視となっています。マラソン、競歩は男子同様にほぼMGCと日本選手権の順位で決まっています。マラソンの前田選手はMGCで7位でしたが、その後の選考レースで日本記録を出して選出されています。

最後に、淡々とパリ五輪のランキングを見ると1ケタ順位は男子110mHの泉谷、村竹、両リレー、競歩の20KM競歩の池田、濱西、古賀、女子5000mの田中、走り幅跳びの秦、やり投げ北口、マラソン前田といった面々です。結果はどうあれ、もてる力をフルに発揮してもらいたいと思います。

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