かんとこうブログ
2024.07.08
パリオリンピックの男子リレーの成績予想
先週土曜日に掲載したパリオリンピック陸上競技の出場選手紹介の中で、男子リレーのランキング順位が両リレーとも高いのだが実力に沿ったものではないと書きました。少々気になっていたので、もう少しその理由を書きたいと思います。
まず男子4X400mリレーです。一度5月に強豪国の戦力分析をしていますが、最新のランキングでやり直してみました。400mの世界ランキングから各国のベスト4の選手のタイムを合計してみました。
字が小さくて申し訳ありませんが、重要なのは右端の4人の合計タイムです。5月に比べると各国のレベルがあがり、日本は順位を二つ落として9番目になりました。4月の世界リレーで予選落ちしたジャマイカがしっかりとエントリーしてきましたので、この表の中のチームはすべて出場します。となるとメダルがどうこう言う前にまず決勝に残ることが最優先されるべきです。昨年のブダペストでは、思わぬ予選落ちをとなりました、その轍をふまぬよう予選通過に全力を尽くしてほしいと思います。因みにリレーの出場は16チームで、予選は二組で、各組3着までと4着以下でタイムのよい2チームの合計8チームが決勝進出となります。
メンバーは両佐藤と中島は確定でしょうから、あとはリレーメンバーに選ばれた今年好調の吉津か、経験のある川端かの選択になります。ただ場合によっては、200m代表の鵜沢や400mH代表の豊田の起用もあり得るのではないかと思っています。
次に男子4X100mリレーです。こちらも5月の集計時点から順位を一つ落としました。4人のタイムの合計は8番目になります。(下の表を作成するときにイタリアをチェックし忘れていました。同様に計算すると4人の合計タイムは40秒21となり日本よりも速いことがわかりましたので、実質日本は4人の合計タイムでは9番目となります)
この4X100mリレーではもうひとつバトンパスが大きな要素となります。以前ご紹介したように第2走者以降は助走をつけてスタートしますので、過去の世界大会で日本チームは4人の合計タイムより2秒28~2秒78短縮しています。(下表:選手のタイムは生涯のベスト記録)ただし、それはバトンがうまくいった場合の話で、東京オリンピックのようにバトンが最後まで渡らないこともあります。
今回のメンバーを予想すると、第1、第2、第4は2023年と同じとなる可能性大で、第3走者に勢いのある東田か、経験のある桐生かの選択になるというのが最もありえそうなオーダーです。これを今回の合計タイムに当てはめると37秒47~37秒97になります。このタイムから考えれば予選落ちはないように思えますが、それでも持ちタイムは9番目なのですから、まずは決勝進出を目指すべきです。今年4月の世界リレーでは、予選・決勝とも38秒台でした。メンバーは違いますが、安心はできません。最初から決勝進出前提でメダル狙いというのでは、予選落ちもあり得るのではないかと心配をしています。
今回のリレーは両方とも決勝に進出することを第1目標にすべきであり、4位以下の入賞でも大健闘であると評価すべきかと思います。某有名元選手が、「両リレーとも十分メダルが狙える」と安直なコメントしていますが、世界はそんなに甘くありません。