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かんとこうブログ

2024.07.19

健康診断の血液検査結果はこう見る!

健康診断で血液検査をしても、その結果については基準値を外れるところを説明してもらうだけで、他の項目については何の目的で何を調べているのかわからないままでした。一度調べてみたいと思っていたものの、その機会がないまま今に至っていました。ところが、文芸春秋8月号に医師の伊藤大介氏による「健康診断は宝の山だ」なる寄稿があり、健康診断に関して「目からうろこ」の事柄がたくさん書かれてありました。その記事の中で血液検査に関することをご紹介したいと思います。

「目からうろこ」の一つ目は「健康診断の各検査が「進行レベル」と「進行速度」のどちらを意識した検査であるかを理解せよ」というものです。そんなことは考えたこともありませんでしたが、その概念は下記右図のようになります。

進行レベル」検査とは発症に至るまでのどの段階にいるのかを知るための検査であり、「進行速度」検査とは、発症にいたるまでどの程度の時間がかかるのか(時間が残されているか)を知るための検査ということになります。

検査を大まかに分類したのが左表であり、健康診断で行われる検査が振り分けられています。記事によれば「そもそも昔の検査は、身長、体重、視力、聴力、レントゲン、血圧、尿検査だけで、「進行レベル」を示す検査だけであったが、後に肝機能や脂質,糖代謝な「進行速度」に関わる検査が追加され、どれくらいの時間で病気になるかを把握できるようになった。」そうです。

いつも健康診断の結果を受け取る時には、引っかかっている項目があるのかないのかという目でしか見ていませんでしたが、「進行レベル」か「進行速度」かを明確に意識をして見ていきたいと思います。

さて血液検査と呼ばれている検査は、採血をしてその成分を調べる検査ですが、大別して血液学的検査」と「生科学的検査」に分けられます血液学的検査血液の主成分である白血球、赤血球、血小板に関する検査です。一方生化学的検査は、腎機能や肝機能、糖代謝など体の機能に関わる成分に関する検査です。文藝春秋の記事には個々の項目についての詳しい説明がありませんでしたので国保中央病院のサイト(下記接続先)から詳細内容を転記させていただきました。

血液検査結果の見方 | 国保中央病院 (kokuho-hp.or.jp)

血液学的検査の内容はあくまで血液の主成分である白血球、赤血球、血小板にの数や量についての検査で、中でも酸素を運ぶ赤血球とその色素であるヘモグロビンについて詳しい数値が求められます。血液の場合は、基準値を上回った場合も下回った場合も両方ともに疾病リスクがあります。濃すぎても薄すぎてもダメということになります。

一方生化学的検査で求められる成分については、通常基準値を下回った場合には特に疾病リスクが書かれておらず、上回った時にのみ疾病リスクが記述されていました。

全部を詳しく説明することは私の能力を超えていますので、文芸春秋の記事に記載されていた肝機能と腎機能について見方を記事から引用して説明したいと思います。二つ目の「目からうろこ」は腎機能についてです。

肝機能と言えば通常「AST(GOT)」、「ALT(GPT)」、「γ-GTP」の3つが代表的指標です。「AST」,「ATL」は肝臓がどのくらい壊れているかの指標であり、「γ-GTP」は胆汁を消化管に流す胆管がどれくらいダメージを受けているかを表します。「γ-GTP」はアルコールを飲むと上がりやすいので多くの人が気にしがちな項目でもあります。

ただこれらの項目は今現在の肝臓へのダメージを把握するためのもので、「進行速度」はわかっても「進行レベル」はわかりません。肝臓へのダメージの蓄積を知るためには、「アルブミン」や「ビリルビン」、「プロトロビン時間」などの数値が必要ですが、一般的な健康診断では測定しません。そこで活用してほしいのが「血小板」の測定値です。  ~(中略)~

「血小板」の数値が下がることは肝臓のダメージが蓄積していることを表します。この仕組みを利用したのが「FIB4 index」と呼ばれる計算スコア「年齢」「AST」「ALT」「血小板」の四つの数値を掛け合わせることで肝硬変や肝線維化のリスクを算出します。この数値は世界中の論文で引用されています。」

インターネットで検索すると計算サイトが見つかりますが、式は簡単なのでエクセルでも計算できます。

FIB-4 Index=(「年齢」*「AST」)/(「血小板数」*「ALT」^0.5)

私も計算してみましたが、年齢が高いせいか、AST、ATL、血小板がいずれも基準値内であったにも拘らず、要注意のレベルにあると判断されてしまいました。ただ単に眺めていただけでは全く気付かなかったことです。

続いて三つ目の「目からうろこ」の腎機能についてです。

「健康診断の腎機能検査として、よく知られているのが、「BUM(尿素窒素)」「クレアチン」の数値でしょう。クレアチンの数値は腎臓がろ過できる能力を示すので、腎臓ダメージの「進行レベル」を示していることになります。健康診断に置ける腎臓の項目は「進行レベル」ばかりで「進行速度」の指標に乏しいのです。そこでかならず見てほしいのが「血圧」「HbAlc」「尿酸値」です。

高血糖や高血圧によって血液の流れが悪くなったりすると、血液を大量にろ過する糸状体の機能が徐々に低下する。だからこそ「血圧」や「HbAlc」に注意しておく必要があるのです。また尿酸の結晶は腎臓にも蓄積すると言われています。最近の日本の研究でも、尿中に尿酸が排泄されなくなると、腎機能が悪くなりやすいとも言われており、腎臓と尿酸は非常に密接な関係にあるのです。

つまり「過去にどれくらい腎臓にダメージがあったか」を見るのはクレアチンを見るのが正しいのですが、「将来どれくらいの時間で腎臓が悪くなるのか」を知るにはむしろ「血圧」「HbAlc」「尿酸値」などを把握するべきなのです。」

いかがでしたでしょうか? 少しは血液検査の結果について興味を感じるようになったとすれば幸いです。

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