かんとこうブログ
2024.07.30
ランキング入りした会社は、ほとんど売上が伸びていない?!
昨日に引き続き、Coatings World誌のランキングについてご紹介していきます。今日は解析結果です。
最初は1~3位、4~10位、11~20位、21~30位の推移です。2023年は異変があり、これまでこれら階層別では最も成長率が高かった4~10位がマイナス成長でした。ただし、この13年間の成長率でみると4~10位が最も増加率が高く、ついで1~3位、11~20位、21~30位の順となります。つまり大きい会社の方が増加率も大きいということになります。この理由は積極的なM&Aによるものと考えています。
この4つのグラフを1枚のグラフにしてみるとこの差は一層明らかとなります。
次に定点観測値です。1位、10位、20位、30位の会社の増加率です。下のグラフは特定の会社ではなく、毎年のランキングの当該順位の会社の売上金額の推移をプロットしています。ここでも20位の売上が減少傾向になっています。通常はあり得ないことですが、これもM&Aに起因しているものと考えています。
また2023年について言えば10位の会社の売上も前年を下回りました。実はTOP10の会社でも前年を下回った会社が4社もあり(下表参照)、1~10位の売上合計も昨年とほぼ同じでした。これも通常では見られない現象です。市場が軟調模様であったと思われます。
TOP30に関する限り、どの角度から見ても2023年は2022年とほぼ変わらない売上金額と言えます。(下表)つまり前年より増加しているとは言えない状況であるということです。
同レベルであるというだけでなく、時には前年を下回っています。2023年のランキングの大きな特徴と言えます。
最後に、世界市場に占めるこうしたTOP企業の割合を示したいのですが、生憎手元に2023年の世界の塗料売上総額のデータがありません。ただこれまでのところ、下の左図に示すように世界全体では、1~10位の10社の売上と31位以下すべての売上合計が似たような数値となっていました。2023年はランキング入りした企業の売上を見るかぎり、世界全体の売上もほとんど前年と変わらないような数値になるのではないかと思われます。であれば、2016年から2022年までのTOP会社のシェアは、1~10位の10社のシェアが42.5±2%、1~30位の30社のシェア合計が53.5±2.5%であり、2023年もこの範囲に入るのではないかと思われます。世界の半分近くを上位10社で占めている状態が続いているということです。
個々の会社については、ここでは触れませんので。Coatigs World 誌の記事をご参照ください。(下記接続先)
Top manufacturers of paints, coatings, adhesives, and sealants in 2024 | Coatings World
以上で今年の解析を終わります。