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かんとこうブログ

2024.11.19

日本ペイントホールディングズはAOC買収によりAkzoNobelを追い越せるか?

先週金曜日に日本ペイントホールディングスの第3四半期決算をご紹介した折に、「このままでは今年中にAkzoNobelに追いつくのは難しいかもしれないが、近いうちには追い付くであろう」と書きました。個人的に興味があるので、これに関して手元で計算してみた結果をご紹介したいと思います。

まず、足元2024年第3四半期まで(1~9月)の世界上位4社の決算状況の比較表を示します。

この4社の決算を比較するためには、通貨を統一しないといけませんので、とりあえずAkzoNomelの売上を円にしてみました。レートは11月15日現在です。毎年世界の塗料製造会社のランキングを発表しているCoatings World社でも、ランキングの基準は売上高ですので、ここでは第3四半期終了時点での売上高で比較しています。一番右の欄が円換算した売上と営業利益またはEBITDAなどの数値(単位億円)です。この時点で、PPGとSherwin Williamsは2兆円を超えています。AkzoNobelは1兆3298億円、日本ペイントホールディングスは1兆2227億円となっています。この差はわずか1071億円です。

これをベースにして、2024年度終了時点のAkzoNobelと日本ペイントホールディングスの売上を予測してみたいと思います。

AkzoNobel社は、第3四半期の決算発表時に第4四半期の前年比を全社べースでFlat、すなわち+/-0と予想していました。昨年の第4四半期のAkzoNobelの売上は2529百万€でした。今年の第3四半期までの売上累計が8092百万€ですので、合計すると10621百万€となります。参考までにこの金額は前年比では0.4%減となります。

一方日本ペイントホールディングスの場合は、前年同期3567億円の15%増を予定しています。これを計算すると4103億円となり、第3四半期までの累計売上1兆2227億円と合わせる、1兆6329億円となります。

この両者を比較するためには、為替レートを使って計算する必要がありますが、まだ2024年期末である12月31日のレートはわかりません。仮に11月18日午前9時のレートを使うとすると162.81円であり、これを使って計算するとAkzoNpbelの売上予想金額は1兆7292億円となり、日本ペイントホールディングスを963億円上まわることになります。

この通りになるとすれば、差は縮まりますが、今年中に追いつくことはできません。

しかし日本ペイントホールディングスの場合は、先日大型の買収案件を発表しました。この発表によれば、買収するAOC社の2024年の売上は1997億円と予測しており、単純合算して約1兆8000億円になるとしています。買収契約の完了は2025年上期の予定ですので、2025年度中には、AOC社の売上が連結に入り、AkznoNobel社に追いつき追い越すことになるものと思われます。

老婆心ながら付け加えますと、Coatings Worldのランキングにおいては、塗料&コーティング材の製造販売金額を基準としています。AOC社売上は、コーティング材&保護剤が28%、着色剤&接着剤が24%、複合材が48%となっています。このうち複合材は塗料およびその周辺とカウントされるかどうかは微妙ではないかと思っています。ただ、Coatings World誌のランキングでどう評価されるかがさほど重要な問題ではありませんので、単に個人的に興味を感じる事項に過ぎません。

以上がAkzoNobelと日本ペイントホールディングスの売上に関する予想です。しかし、これに対する変動要素はたくさんあります。世界の塗料需要の変化、為替の変動、新しいM&Aなどなど、実際のところどう変わるのかを高い確率で予測するなど不可能です。ただ、日本の塗料産業に携わる人間の1人として、日本の塗料メーカーが世界のトップに伍してしのぎを削るというのは喜ばしいことだと感じています。

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