かんとこうブログ
2025.01.14
インフルエンザの流行状況について
先週からインフルエンザが猛威を振るっているとのニュースが頻繁に報道されるようになりました。厚生労働省の1月9日発表資料では、昨年の第52週までの経過しかわかりませんが、そこまでの状況をグラフにしてみました。
今年のインフルエンザの流行がどれほどのものかは、下のグラフを見れば想像がつくと思います。厚生労働省のサイト(下記URL)から今年を含め9年分のデータをグラフ化してみました。1医療機関あたり64.39人は統計を取り始めた1999年以降の最多となります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html
横軸は年初からの数えた週数です。2020-2021年および2021年-2022年はほとんど感染者がいなかったためグラフにしていません。これを見ると今シーズンはすでに、過去9年間で最も感染者の多かった2018-2019年、2017-2018年の最盛期を昨年末の時点ですでに上回っており、このあともさらに感染者数が増加することは間違いないと思われる状況です。医療の逼迫が憂慮される状況にあります。
都道府県別の定点観測数(診療所あたりの患者数)は下図のようになっています。コロナと比べて異なる点は、必ずしも大都市地域で感染が先行し、拡大しているわけではないことです。下の6枚のグラフの縦軸はそろえてありますので、線の高さをそのまま比較できます。
最近の第52週で最も多いのが大分県の104.84人、ついで鹿児島県の96.40人、佐賀県の94.36人と続き九州が全般に高い状況にあります。しかしながら沖縄県は24.30人と全国で最も少なく九州とは海を隔てることで感染状況が異なることを示しています。少ない方は沖縄に次いで富山の26.90人、山形の27.60人と続きます。凸凹はあるものの大まかには南髙北低の傾向です。
最後にインフルエンザによる入院者数の推移を年代別でご紹介します。各月とも年代別内訳の傾向は同じです。縦軸を対数目盛にしていますので、年代別の差は見た目以上にあります。多い順には80歳以上、70-79歳、1-4歳、5-9歳という順になりますが、0-9歳までの合計は70-79歳を上回りますので、端的に言えば高齢者と乳幼児ということになり、これは新型コロナウイルス感染症の場合と同じでした。
冒頭ご紹介したように、インフルエンザの流行は最近ではかつて経験がないほど拡大しています。十分な予防と養生に務めたいものです。
※それにしても、次回の発表は1月16日で、ようやく今年の第1週(12月30日~1月5日)の感染者数が発表になります。全国の集計ですので時間がかかることは仕方ないのかもしれませんが、この時代にしてはタイムリー差に欠けるのではないかと思います。