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かんとこうブログ

2025.01.17

アメリカの貿易事情・・トランプ関税はあるのか?

トランプ大統領が就任を前に怪気炎を上げています。グリーンランドをアメリカの所有にしろとかメキシコ、カナダに25%の関税をかける、中国にももっと高額の関税をかけるなど言いたい放題です。一方で就任一日目以外は暴君にはならないとも発言しており、その就任1日目である来週月曜日に、果たして高額な関税設定がなされるのか関心が集まっています。

関税に関しては、アメリカの貿易事情が関係していると思われましたので、自分なりに調べてみました。その結果をご紹介したいと思います。調べた結果、トランプ大統領の関税に関する発言には、やはりアメリカの貿易事情が関係していることが解りました。最初は国(地域)別の輸出入の内訳をご紹介します。データはJetroのサイトから引用して作図しています。

https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/gtir/

   

上図では2023年のアメリカの輸出入の相手国別の内訳を示しています。EUを地域全体で描いてありますが、輸出において国別では多い順にカナダ、メキシコ、中国、オランダ、ドイツ、日本の順でした。一方輸入の方は、メキシコ、中国、カナダ、ドイツ、日本、韓国の順になります。輸出入ともメキシコ、カナダ、中国がトップ3であり、トランプ大統領が関税に関してこの3か国を名指しするのはこのためと思われます。

  

さらに輸出入の金額を並べて書くとその理由はより明確になります。

  

   

左図より、主要な相手国(地域)に対してはほぼすべて輸入超過であることがわかります。さらに右図からはその中でも中国に対する輸入超過額が群をぬいて大きいことがわかります。日本はと言えば、輸入超過額として見ると、中国、メキシコ、ドイツに比べればかなり少ないとも言えます。

   

輸出入に関して品目別にも見てみたいと思います。

   

  

大品目でみると資本財、自動車およびその部品、消費財といった品目の輸入超過が大きいようです。さらに細かな分類での収支を以下に示します。

  

  

大幅な輸入超過となっている品目はコンピューターおよび関連部品、乗用車、医薬品、携帯電話、繊維衣料品、玩具・ゲーム・スポーツ用品、家具・家庭用品であり、消費財はすべて大幅な輸入超過となっています。

   

さて翻って日米関の輸出入についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。日本から見たアメリカとの2023年の輸出入は以下のようになっています。

   

   

大幅な日本からの輸出超過ですが、輸出の内訳は自動車が28.8%、自動車部品が5.3%と両者で輸出の1/3を占めています。さらに原動機も半数以上は自動車用のようですので、自動車関連の輸出が全体の4割ほどになろうかという割合で、金額的には約8兆円になります。つまり自動車関係の輸出がなければアメリカに対する輸出超過が著しく小さなものになるという訳です。

  

アメリカへの日本車の輸出は実はこれだけではありません。文藝春秋2025年2月号の記事の中に日本の自動車メーカーの対米輸出のことが書いてありました。日本の自動車メーカーの対米輸出は、メキシコやカナダからも行われており、その数は日本からの輸出を上回る量であるとのことでした。メキシコから70万台、カナダから40万台で合計すると日本からの輸出100万台を上回ります。

   

   

つまり、メキシコやカナダに対し高額の関税が課せられれば、日本車にも直ちに影響がでるということです。ただし、実はアメリカの自動車メーカーも同様にメキシコやカナダからアメリカへ輸出(アメリカに輸入というべきか?)しており、その割合はBIG3平均で3割程度とかなりの量になります。

   

こうしたことを見てくると、トランプ大統領の発言の実現性が疑わしくなります。つまりカナダやメキシコからの輸入なしにアメリカの生活も経済も成立しないのではないかということです。同じことは移民の強制送還についても言えるわけで1000万人もの人間を強制送還すればたちまち人員不足となりアメリカ社会が回らなくなるという指摘もあります。高額な関税を課せば、結果的にアメリカ人は高い車を買うことになるだけで、最も大きな影響を受けるのはアメリカ人であるという指摘もあります。

   

しかしながら、相手は自称天才トランプ大統領ですので、何が起こるかわかりません。来週月曜日の言動に大注目です。

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