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かんとこうブログ

2025.04.09

関税発表直前のBloomburgが報じていたこと

トランプ関税に関する情報を探しているうちに、トランプ関税発表の前日、4月1日に公開されたBloomburgのネット記事(日本語版;下記接続先)が見つかりました。さすがアメリカの会社だけあって、アメリカのGDPに占める貿易赤字の割合や、関税の歴史などのデータに加え、さらに独自で主要貿易赤字国の非関税障壁の推定などが書かれており、興味深く拝見しました。とても面白かったので、その内容をご紹介したいと思います。

トランプ氏の相互関税、新たな歴史刻む-米が構築した貿易体制解体へ - Bloomberg

まずアメリカ経済における貿易赤字の存在ですが、GDPの14%に達するとのことで、予想外に大きいことがわかりました。

1970年代以降、GDPに占める貿易赤字の割合は増え続け2010年頃には16%を超え、現在では14%程度になっています。日本でもコロナ禍以降エネルギー資源の輸入金額が高騰し、貿易赤字額が問題になりましたが、GDP比では最大だった2022年の22兆れておきましたが、こうした貿易赤字について、「40年以上世界の食い物にされてきた」ためだと捉えているようです。図中にはGATTの文字も見えますが、これについてはあとで説明します。

この図はアメリカの平均関税率の推移です。図中にスムート・ホーリー関税法という文字がありますが、これは保護貿易主義の象徴とされ、高い関税率を課したことで有名法律が課されたことを指していますが、その時の平均関税率は20%でした。以降アメリカの関税率は下がり続け、第二次世界大戦以降もずっと低い税率を保持してきました。それが今回のトランプ関税で一挙に跳ね上がることになります。(グラフの右端)

ひとつ前の図でGATTが出てきました。今はGATTからWTOへと引き継がれましたが、BloomburgではGATT開始以来、世界の先頭に立って自由貿易を推進してきたアメリカが、自らが世界に対し「GATTもWTOも忘れろ」と言っているに等しいとコメントされています。

このBloomburgの記事ではトランプ関税の税率を独自予想をしており、主要な貿易赤字相手国の非関税障壁を税率に換算して見積もっています。(下図)

左から見ていくと、貿易赤字、関税率、消費税(付加価値税)まではわかりますが、非関税障壁の税率換算をどのように行ったのかは説明がありません。それはともかくそれらを合計して不公平障壁%としています。この数値は考え方として、トランプ関税における「みなし関税」に近いのではないかと思われますが、実際には、発表された相互関税に結構近い数字になっています。案外トランプの相互関税もこのように計算する一方でいちいち説明を簡単にするため単純な式にしたのではないか思いました。

ところでトランプの相互関税ですが、英語では「Reciprocal Tariffs」と表現されていました。Tariff は関税ですが、始めのReciprocalという単語はあまり目にしません。私の乏しい知識では、お世話になった方にご恩返しをすることを、確か「Reciorocate」と言っていたと思い、Reciprocalで辞書を引きました。いろいろな日本語が書いてあり、たしかに「相互」というのもあります。しかし、トランプ大統領の言動からは、「相互」ではなく「報復」というのが最もぴったりするように思いました。英語の「Reciprocate」は良いことも悪いことも含めて「お返しをする」ことだったはずです。意味合いとしては「相互関税」ではなく「報復関税」の方が近く、その方がこの関税の本質がよく理解できるように思いました。

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