かんとこうブログ

このところ、弊ブログで、最もアクセスの多い記事は昨年7月11日の「日本の租税支出透明性指数は世界の最低レベル！」です。この内容は、昨年6月14日の参議院政治改革特別委員会に参考人として招致された駒澤大学名誉教授の大山礼子氏が、政治改革についての意見を述べた動画の中で、世界租税支出透明性指数（Global Tax Expenditures Transparency Index：GTETI）に言及され、日本が世界の104か国中94位であることに対し改善努力をすべきであると指摘されているのを見て、調べた結果をご紹介したものです。

もしや世界租税支出透明性指数が更新されているのではないかと思い調べてみたら、昨年に12月19日に2024年の結果に更新されていました。（下記URL)　今日はその内容をご紹介します。2024年の結果はというと、数値は向上し、ランキングも上がりましたが、まだ世界の平均値を下回っており、とても胸をはれるような評価ではないというものでした。

https://gteti.taxexpenditures.org/

この世界租税支出透明性指数に関する説明は下記です。（昨年7月11日の記事のコピーです）

この指数は租税支出研究所（Tax Expenditures Lab.）という機関が発表しているものであり、この租税支出研究所は、2023 年 10 月に経済政策評議会 (CEP) とドイツ開発持続可能性研究所 (IDOS) によって設立されたものと説明されています。

経済政策評議会（CEP)は、チューリッヒに本拠を置く財政、金融、貿易政策に焦点を当てた、持続可能性のための国際的な非営利・超党派の経済政策シンクタンクと説明されています。一方のドイツ開発・持続可能性研究所(German Institute of Development and Sustainability：IDOS)は、ボンに拠点を置きグローバルな開発と協力のための主要な研究機関およびシンクタンクと説明されています。スイスとドイツのクタンクが設立した研究機関ということになります。

ことしも世界地図からご紹介しましょう。租税支出の透明性が高い国ほど色が濃くなっています。

日本のスコアは昨年の30.1から上がって38.4になりましたが、世界の平均である46に及びませんので色はうすくなっています。

世界に上位国ならびに主要国の透明性数値の一覧表です。今年も世界一位は韓国でした。2位はなんと昨年のランク外からインドネシアが入りました。その他にもブラジルの大幅な躍進（57位➡7位）や英（27位➡39位）米（6位➡17位）の後退などがありました。

緑数字はスコアの改善、赤数字はスコアの低下を示しています。また青い色付けはG7諸国を示しています。租税支出透明度係数というのが総合点で100点満点、情報公開より右側が個別の評価項目で各20点となっています。

この順位は例えばSDGsにような先進国VS新興国、途上国と言ったイメージでは説明できない順位になっており、経済力からくるイメージからも離れた順番にならんでいます。要は税金の使い道について、どれだけ情報が開示され、開かれた中でものごとが決まっているのか、そして計画だけでなく、事後にも検証と反省がなされているかということなのであり、経済の発展度合いとはある意味無関係の数値です。

とりあえず、総合スコア（租税支出透明度係数）をグラフにしてみました。

こうして眺めると日本の指数は今年は38.4ですが、世界的にもで恥ずかしくないスコアとなると60点以上が必要なように思えます。それにはどうしたらよいのか、日本について各項目別の評価から考えてみたいと思います。

項目別の点数分布と日本の位置が示されています。各図の右側ほど点数/順位が高く、左側ほど低くなっており、緑色の小さな丸点左から1位、26位、52位、78位、105位を示していると思われます。

日本は全ての項目で下位に甘んじていますが、とりわけ情報の一般公開の評価が世界の最低レベルです。しかもこの項目の評価は前年よりも下がっています。一方制度的枠組みはこの1年で随分改善されました。他の項目も少しずつではありますが前年よりも改善しています。これらの図から見ても改善すべきは情報公開です。世界最低指数のアルジェリアやタンザニアよりも日本の情報公開のスコアは低いのです。世界の最低レベルから大幅に改善されることを強く期待します。