かんとこうブログ
2025.08.03
Coatings World のTOP COMPANIES REPORT その2
昨日の続きです。
これも毎年ご紹介している定点観測です。今年はこれまで歯抜けだった2010年台前半の奇数年のデータを入れてグラフを描き直しました。さらにこれまで描いてこなかった40位、50位、60位、70位のデータをCoatings Worldのライブラリーからデータを引用して描いてみました。
実は2010年台の奇数年のデータは10位と20位の前後の年よりかなり大きな数値でした。これはHenkelが対象から外れたことと大型M&Aなどによるものと推定されます。増加率については、これまで、最初の年と最後の年の数値から計算していましたが、今年から一次近似線も入れてみました。上の4つのグラフでは大きな違いはありませんでした。
40位、50位、60位、70位は初めてご紹介しますが、Coartings Worldのライブラリーでは2010年および2018年のデータが欠損になっていましたので、データの期間が少し違いますのでご容赦ください。
最初の年と最後の年から成長率を計算すると40位だけがわずかにプラス、50位、60位、70位がマイナス成長となりましたが、一次回帰線の傾きは全てマイナスになりました。すなわち、同順位の会社の売り上げ金額は増えていないということです。この間世界の塗料需要はおおよそ年率5%で成長してきていますので、これは明らかに矛盾する結果です。考えられる要因は積極的に行われてきたM&Aです。M&Aによりランク入りする会社数が減り、同順位の売り上げ金額が増えていかないものと推測されます。
1-3位の売り上げ合計は減少しました。4-10位の売り上げ合計も微増に留まりかつての勢いがありません。11-20位の合計、21-30位の売り上げ合計も微減でした。2024年の市場があまり良くなかったことを示しています。
最後に1-10位の会社と日本企業について、前年からの売り上げ増減と順位の変動について示します。
左表のトップ10ですが、上位3社のうち売り上げ増は1社もありません。PPGが売り上げ大幅減、AkzoNobelも減収でした。またこれまで躍進を続けてきたAsian Paintが減収になっています。
日本企業は前年と比較していずれも増収となっているケースがほとんどです。このランキングっはUS$に換算した金額でのランキングのため為替の影響を強く受けます。前年と今回の円$為替は、3月31日のレートで換算すれば大きな差ではありません。12月31日については、2024年の方がドル高になっていますので、2023年にくらべ売り上げ金額が過小評価されていることになります。
昨年は7社もあったFirst Timerでしたが、今年は2社でしたので、特別の紹介はいたしません。これでTOP COMPANIES REPORTのご紹介は終わりにいたします。Coatings World誌のホームページの記事では、ランク入りしたすべての会社についてなにがしかの紹介が掲載されていると思いますので、そちらをご参照ください。