かんとこうブログ
2025.12.08
熊の出没状況・・環境省と都道府県データから その2
環境省が公表している熊の出没情報は毎月月末に前月分が発表されます。10月分が11月30日に発表される予定でしたが、なかなか発表されず先週金曜日に発表(下記接続先)になりました。11月は非常に多くの熊が出没し、情報提供者である都道府県の集計が間に合わなかったのかと推測しています。ともあれ、まずは全国の出没数をご覧ください。
先月もお断りしましたが、この統計には北海道と九州、沖縄は含まれていません。
令和7年度は10月時点で近年では最多出没を記録した2023年を大きく上回りました(下左図)。11月もかなり多かったようですので、大きく記録を塗り替えるのは間違いありません。月別の出没件数についても10月は驚異的な数に上っています(下右図)。

令和7年4月以降の都道府県別出没数では、秋田、岩手の両県が際立った多く、青森、新潟、宮城、山形と東北地方に多く出没していることがわかります。

それでは主な府県について、秋田県と岩手県から順に月別出没数を見ていきたいと思います。環境省のデータは10月までですが、11月の出没数を知りたかったので各県庁のサイトを調べました。発表資料のあるものはそれを利用、または代用させてもらい11月の出没数として表示しています。

秋田県には11月の出没データがありましたのでプロットしています。10月の6000件近くから減ったもののそれでも3378件と近年の数値とは、けた違いの数になっています。12月も12月5日現在で108件と昨年12月全体の110件を早くも上回りそうです。冬眠しない熊の増加が非常に心配されます。続いて宮城県と新潟県です。

宮城県の10月は9月から6倍増でした。新潟県の10月も9月から3倍増でした。新潟県にも11月のデータがありました。11月はわずかに10月より減少したに過ぎません。また12月も12月5日現在ですでに50件に出没情報があり、昨年12月全体の30件を早くも上回っており、冬眠しない熊の増加が大いに心配されます。続いて山形県と青森県です。

両県とも11月のデータが見つかりましたが、10月からわずかに減少しただけで12月の出没も多そうです。やはり冬眠しない熊が心配されます。続いて長野県と京都府です。

両方とも今年度のグラフの形が似ており、これまでの東北地方とは異なり10月に増加はしたものの、飛躍的な増加ではありませんでした。さらに言えば両者とも令和5年の出没数の範囲内となっています。この傾向は次の島根県と兵庫県も同様です。

いずれも今年度が際立って多いというわけではありません。兵庫県庁のサイトには熊の出没情報とならんでドングリやナラ、ブナの作柄情報が載っており、今年度は「豊」とのことでした。東北地方はドングリなどが大凶作であったと聞いてりおりますので、こうした餌となる果実の豊凶が出没に影響を与えているのっは明白なようです。
北海道は道庁で全体の集計をしていないようなので前回のように市町村単位で調べる必要があるため今回手が回りませんでした。ご容赦ください。それにしても12月に入っても東北地方での出没情報は急減しそうにありません。例年、東北地方の12月の出没件数はほとんどありません。もう冬眠している時期に入っているだけに、この時期の出没情報が絶えないことは、冬眠しない熊の増加を示しているのではないかと心配されます。