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かんとこうブログ

2026.03.30

原油から溶剤へ・・分解工程をもう少し詳しく説明

3月18日の当ブログ記事に続き、原油から塗料に使用される有機溶剤がどのようにし作られているのかを調べましたのでご紹介したいと思います。前回は、石油精製工場において原油を蒸留して出てくる比較的低温で出てくる留分のひとつであるナフサから採れること、そのナフサの量は原油の10%弱であること、分留から採れるナフサでは需要をすべて賄えないので不足のナフサが輸入され、その7割が中東から来ていることなどを説明しました。

前回までで、備蓄原油が放出されても、果たしてナフサの供給が十分なのか、はたまた不十分であればそれをどう補えばよいのかまではわかりませんでした。現在もこれらの疑問は解決できないままですが、もう少し詳しく溶剤の製造プロセスを調べてみることにしました。

原油の分留で得られたナフサは分解工程にかけられ、エチレン、プロピレン、ブタジエン、トルエン、キシレンの留分に分別されます。そしてその収量はおおよそ以下のようになっています。

これらの留分からさまざま石化製品が作られますが、有機溶剤とその原料との関係は以下のようになっています。

つまりナフサ留分のうちトルエン、キシレン以外のエチレン、プロピレンも有機溶剤の原料であるということです。さらにベンゼンも塗料にとって重要な基礎物質であるスチレンの原料であり、ナフサは塗料の原料にとって多くの原料の元となるものであることが改めて理解されると思います。

ただし、メタノールだけは例外であり、主として天然ガスから(脱硫⇒水蒸気改質⇒合成ガス圧縮⇒メタノール合成⇒蒸留)工程で作られているそうです。

以上で溶剤の主な原料となる出発物質がわかりましたが、その出発物質から溶剤のほかにどのようなものが生産されているのかも大事なことです。ざっと調べたところ、大体以下のような感じでした。

ここで理解すべきは、エチレンやプロピレンはもちろん、トルエン、キシレンも溶剤が必ずしも主たる用途とは考えられないということです。事実キシレンのメインはパラキシレンでPET樹脂の原料となるテレフタル酸の原料となります。塗料業界にとってみればトルエン、、キシレンは最も一般的な溶剤であり身近にありますが、残念ながら社会全体から見ると少し見方が異なるようだと思わざるを得ません。

塗料および塗装に使用されている有機溶剤がどのくらいの量かというのは残念ながら統計数値がありません。おぼろげながら関連のありそうな資料は日塗工が発行しているVOC排出量の数字であり、溶剤ごとに推定排出量が算出されています。塗装における塗料からの排出は、全体で約25万トンとされていますので、塗料製造や塗装における洗浄使用分などを考えれば年間30万トン程度の溶剤が塗料・塗装に使用されていると考えてよいのではと思います。

一方で各溶剤のシンナーとしてではなく、化学製品としての出荷された数量は当ブログで毎月報告している経産省確報(生産動態統計調査)で発表されており、2025年1月から12月で、以下のような数値でした。トルエン66.3万トン、キシレン152.9万トン、イソプロピルアルコール17.6万トン。メチルイソブチルケトン5.0万トン、ブタノール9.7万トンであり、この5種類だけの合計が251.5万トンにもなります。先ほどのVOCから推定した使用量の8倍ほどの量になります。5種類以外の化学製品として出荷された化学物質まで合わせると、塗料・塗装関係に使用される量の10倍以上になるのではないかと思われます。(参考までに補足しますと、石油連盟が公表している生産能力は年間でトルエン184万トン、キシレン645万トンですので、確報に収録されている出荷数量よりもかなり大きな数値になります。確報の数値はあくまで製品として出荷された数値ですので、自家消費分が含まれていません。)

このように見てきますと、備蓄原油が放出されてもナフサ不足が解消されないと有機溶剤の不足も解消されない可能性が高いように思えます。塗料・塗装業界におけるイラン情勢不安の影響の大きさはより計り知れなくなるように思えてしかたありません。この事態に業界団体として何ができるのか・・考えています。

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