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かんとこうブログ

2020.08.14

日本ペイントの決意と覚悟

先日、7月に発表されたCoatings World 紙のTop Companies Reportの内容をご紹介しました。この中で注目される企業について主に投資家説明会資料を中心に企業動向を調べており、近いうちにこのブログでも紹介していきたいと思っております。今日はそうした注目企業の中から、日本ペイントホールディングスの2019年度の決算に対する投資家説明会資料についてご紹介したいと思います。すでに半年以上経過していて時機を逸した感はありますが、なかなか興味深い内容だと思い、個人的な感想とともにご紹介いたします。

日本ペイントホールディングスについて、6月4日のブログで、第1四半期(1-3月)のカンフェランスコールとそのQ&A資料に関して紹介させてもらい、これまでにない開かれた企業姿勢が大いに評価できるのではないかと書かせてもらいました。この資料は2月21日の資料ですので、その資料よりも前の資料ですが、今眺めてみても興味を惹かれる点がいくつかあるのでそれをご紹介したいと思います。

一つ目は、自らの強みを説明するのに、世界のトップメーカーを引き合いに出していることです。下の図は、説明会資料から引用させてもらいましたが、自らを「グローバルシェア向上の余地、バランスの取れた事業ポートフォリオ」と規定し、世界のトップメーカーとの比較を出しています。これまでの日本企業ではここまで出した企業はなかったと思います。世界のトップは、こうした企業間比較をよく前面に出し、自社の優位性をアピールしてきましたが、いよいよ本気で世界のトップ3を目指す覚悟のようなものを感じました。


同じようなことになりますが、もうひとつ自社の強みとして「積極的なM&Ano実践」として過去のM&Aの実績をその戦略的意義とともに紹介していることです。(下図)これも世界のトップメーカーはみな公表していることですが、M&Aの実績を一貫した戦略とともに語れることは、同社の戦略的方向性がしっかりと定まっていることの証左と思われます。


さらに評価できることは、基本となる経営姿勢を明確に打ち出していることです。下の図には「株主価値最大化の推進」と書かれてはいますが、一方では「SDGs、ESGの視点を経営の中核に位置付け、「株主第一主義」とは一線を画し、お客様・従業員・取引先・社会への責任を十分に果たした上で、残存する「株主価値」の最大化に尽力」と書かれています。世界的にみれば当たり前のように思えますが、顧客至上主義でもなく、株主至上主義でもなく、企業の社会的責任を十分に意識した経営姿勢は、少なくとも日本の塗料メーカーにあっては新鮮に感じました。


また、公平性、透明性、客観性の高いコーポレートガバナンス体制を確立している点も評価できます。日本の企業における社外取締役の機能に関しては議論があるところではありますが、卓越した経営トップ層と優秀な社外取締役で十分に会社全体を統治できるということでしょう。

このほかにも随所に、世界のトップを目指す決意と覚悟が垣間見らるように思います。現在の高株価は、こうした企業姿勢が評価されているもののではないでしょうか?

現在の日本ペイントホールディングスは、言うまでもなく日本ペイントとWuthlamのアジア事業におけるプラットフォーム融合の上に成り立っています。この土台を元に他の地域へどう展開するのか、新たにM&Aを行った企業に対して、どこまでグループの一員として統治することができるか、そしてシナジー効果をあげることができるか、今後の日本ペイントホールディングスの動向に注目していきたいと思います。

ここで引用した図は、日本ペイントホールディングス株式会社のホームページ(以下のURL)から引用しました。

https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/document/pdf/materials_20200225_5e546cad3b7ec.pdf

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