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かんとこうブログ

2020.09.22

世界一黒いもの 続報 真っ黒な深海魚

今月初め、「世界一黒いもの」として、様々なものをご紹介しましたが、9月20日付の時事通信で、「真っ黒な深海魚」が見つかったと報じられましたので、「世界一黒いもの」の続報としてご紹介します。

時事通信の報道は、アメリカの科学雑誌「Current Biology」に掲載された記事によるもので、スミソニアン博物館とデユーク大学などの研究チームが発表した内容を紹介しており、同チームが可視光の吸収率が99.5%を超える深海魚を16種類発見したと紹介しています。

https://news.ameba.jp/entry/20200920-546/

これらの深海魚が、なぜそのように可視光の吸収率が高いのかについては、「体表近くの細胞には黒い「メラミン色素」が入った袋状の小器官「メラノソーム」がびっしりとつまっており、光を吸収するだけでなく、吸収しきれず反射した光も隣接する「メラノソーム」に吸収されるよう、「メラノソーム」の大きさや形、配列が最適化されていることがわかった」と説明されています。


メラミン色素は、動物体内のメラノサイト(色素細胞)で合成され、太陽光の中の紫外線から細胞を保護する働きがあります。日に焼けると黒くなるのはこのメラニン色素の沈着によるものです。黒褐色の真性メラニン(eumelanin、エウメラニン)と、橙赤色の亜メラニン(Pheomelanin、フェオメラニン)の2種類があります。以下の構造式はほんの一部を表しているにすぎませんが、複雑な構造をしていることがお分かりいただけると思います。(出典:ウイキペディア(構造式も))


黒褐色のメラニンとは言え、可視光吸収率が99.5%以上にもなる秘密は、やはり「メラノソーム」の構造にあると言えます。そして多くの深海魚がこうした構造を持つようになった理由について、この情報の出典である「Current Biology」では次のように説明されています。

太陽光が届かない深海において、生物は捕食のために自ら発光し、暗闇に潜む獲物を探し出す。浅い海で有効なカモフラージュである透明化や光の反射は、深海では、生物が放つ探知光には有効でなく、ひたすら探知光を吸収してしまうことが要求される。色素による自らを漆黒化することで、生物は暗闇の中で自らを探知不能とすることが可能となり、捕食者から逃れ、獲物を誘引することができる。98%の吸収率を持つ魚は、今回発見された超黒魚に比べて捕食者による視認可能距離が6倍にもなり、遠くから認知されてしまう。

https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(20)30860-5?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0960982220308605%3Fshowall%3Dtrue

今回の発見の意義について、極楽鳥やカーボンナノチューブにおける微細構造による究極の黒にくらべ、色素による黒ははるかに低価格で実現できる可能性があるとされています。現時点でネットで調べられる範囲では、「メラノソーム」の構造がどのようなものかわかりませんが、塗料の立場から見ればカーボンナノチューブの漆黒よりも近いのではないかと思われます。

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