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かんとこうブログ

2020.11.04

コロナ感染症都道府県別、国別感染者数の推移から見えてくるもの

気温の低下とともに新型コロナウイルス感染症の再拡大が報じられるようになってきました。今日は、都道府県別の人口100万人あたりの感染者数の推移と各国の感染者数の推移をご紹介し、そこから見えてくるものについて書きたいと思います。

まずは、現時点での都道府県別の人口100万人あたりの感染者数です。都道府県別のデータについては札幌医科大学のサイトから引用させてもらいました。

112日の時点で人口100万人あたり最も感染者が多いのは沖縄県です。この人口100万人当たり感染者数は、長らく東京がトップだったのですが10月末に沖縄が抜き去りました。全国平均では人口100万人あたり800人ですが、沖縄県は人口100万人あたり2321人であり、全国平均の3倍弱ということになります。人口100万人あたりの感染者数が多いのは、多い順に、沖縄県、東京都、大阪府、福岡県、神奈川県、愛知県、千葉県、埼玉県とここまでが全国平均を上回っています。とはいえ、全国平均を上回るのは8都府県しかありません。このことからこれらの都府県にいかに人口が集中しているかが理解できます。次に主要な都道府県の人口100万人あたりの感染者数の推移を示します。

この図は今年の1月から11月までの人口100万人あたりの感染者の推移をみたものです。字が小さいので見にくいかと思いますが、濃い緑が沖縄県、薄い緑が東京都、赤が大阪府、オレンジが福岡県、青が愛知県と北海道です。薄い青は全国平均であり、直近で全国平均を下回っている青が北海道です。

沖縄県は4月の第1波の段階ではずっと全国平均よりも下だったのですが、8月の第2波で急増し、ついに10月で東京都を抜き去りました。東京は逆に第2波における増加の仕方が他の道府県よりも緩やかでした。気になるのは10月以降の上昇の勾配で、北海道や沖縄の上昇の傾斜が他よりも大きいように見えます。

以上の2つのグラフから見えてきたことを整理します。まず第1はこれまで言われてきたように大都市圏では、まちがいなくより高い確率で感染症が拡大しているということです。人が多く居住する大都市圏では、人と人の接触頻度がより高くなるのは当然であり、感染確率も高くなると思われます。第2としては、しかしながら沖縄県や北海道の増加はそれでは説明できず、沖縄や北海道の10月以降の感染拡大は、大都市圏からの人の移動によってもたらされたものと考えるのが自然だと思われることです。GO TO トラベルの是非をここで論じるつもりはありませんが、沖縄や北海道に関して、単に気温の低下による季節要因と片付けず、科学的な検証をすべきかと思います。

それでは次に世界各国の目を転じましょう。ヨーロッパにおける感染の再拡大と再ロックダウンは日本でも連日報道されていますが、実際はどうなのでしょうか?数ある感染症サイトの中で、日本語サイトでは最もデータが豊富だったNHKのサイト(下記URL)から世界各国の毎日の感染者数の推移をご紹介します。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

これは累積ではなく毎日の感染者数の推移を示しています。

この図はNHKのサイトのグラフをスクリーンショットで引用してきていますので、縦軸をそろえることができません。そこで目安として赤線を1万人/日の位置に、青線を5万人/日の位置にいれました。世界で最も感染者が多い国々の今年の3月から11月までの感染者の推移はご覧の通りです。アメリカは現在第3波ともいうべき状態ですが、インドとブラジルはピークを過ぎ収束方向にあることがわかります。ロシアは第1波を上回る勢いの第2波がきているようです。

ヨーロッパ、中でも西ヨーロッパの国々です。どれも形がよく似ています。この中でイギリスだけが陸続くではないのですが、EU内は事実上国境がありませんので、ほぼ同様な感染傾向を示していることもうなづけます。こうした地域では国内・国外という概念ではなく、域内・域外という概念で感染対策を行っているものと思われます。

これらは南半球の国と書いてしまいましたが、コロンビアは正確には赤道を挟んで北半球と南半球に位置しています。これらの国を集めたのは、南半球であることの地理的、気候的な影響を見たかったのですが、残念ながらそうした明確な傾向は認められません。さきほどのブラジルでは、南半球の冬である7-9月において感染が多いというようにも見れたのですが。アルゼンチンは全くそうした傾向を示していません。これらの国ではコロンビア以外はピークを越えているようです。

これらの国は中東からアジアにかけてです。トルコはヨーロッパとアジアの境と言われていますが、先ほどのヨーロパの国とは様相が異なります。地理的にも人種的には離れているからでしょうか?サウジとイランも全く様相が異なります。あえて言えば、これらの国ではお互いによく似た感染状況を示している国はないということです。さらに大事な点は、感染者の絶対値が少ないということです。冒頭述べて感染者1万人/日を示す赤い線がどこにもありません。すべてそれ以下の感染者しか発生していないからです。かわりに1000/日を示す緑の線を入れておきました。中東からアジアにかけては世界の他の地域よりも感染者数が少ないと言ってよいと思います。

以上世界各国の感染動向についてまとめると以下のようになります。

①今感染拡大が懸念される国・地域は、アメリカ、ロシア、ヨーロッパである。
②西ヨーロッパでは、ほとんど同じような感染者数の推移が見られる。
③南半球であることによる特異な感染傾向は認められないようである。(季節要因はそれほど大きな因子となっていない)
④中東~アジア地域においては欧米などに比べて、感染者の絶対数が少なく、共通してみられる感染傾向も認められなかった。

欧米が再感染拡大期にあることの理由には、ウイルスの変異と並んで季節要因が上げられています。これまでのデータからは、季節要因の影響は顕著ではないようですが、用心を怠らず準備を進めていきたいものです。

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