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かんとこうブログ

2021.03.12

「日本ペイントグループ 新中期経営計画(2021-2023年度)」 記者会見兼投資家説明会

 先日行われた掲題の記者会見兼投資家説明会のビデオの案内がありました。昨年の100%化のあと、予測されていた1兆円企業への道筋が示されるものと興味をもって拝見しました。全体として、整合性のとれたとても良い計画であるように思えました。印象として、この中期計画のうちにまちがいなく売り上げ1兆円を達成し、Top3の一角に割って入るものとを思います。詳しくは実際にご覧になるのが一番ですが、個人的に印象に残った数枚のスライドだけご紹介します。

https://www.video-streaming.net/ir/4612/2021_mid-term_plan_j/
https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/management_policy/management_plan/

まず冒頭にこの中期計画の位置づけについて、「現在のような変化の激しい経営環境においては、常に5 年から 10 年先を見据えて、経営環境の変化に果敢に対応していくという姿勢が望まれると考えています。従って、3 年の中期経営計画は、そうした経営のアプローチを前提とした 3 年後のマイルストーンとして位置づけることが適切だと思っています。」と述べています。この言葉通りに2024年以降の目標も掲げています。資料の順番としては最後の方にでてくるのですが、このスライドからご紹介します。なおスライドの下の「 」はスライドに付された説明文で、ビデオでの説明こほぼこの通りだったと思います。長期的な財務目標として、当社がベンチマークしている大手競合企業の売上 CAGR 目標は 46%ぐらいですが、当社は 2024 年以降、1 桁台後半の持続的成長を目標とします。また、営業利益や EBITDA CAGR は、売上成長に伴う限界利益の貢献で、マージンを向上させていきます。3 年後のマイルストーンとしては、2023 年に売上 1 1,000 億円、営業利益 1,400 億円、EPS225 円を目標とし、売上 CAGR 10%プラス、営業利益率は 2.7 ポイント改善、EPS 25%増加させるというものに致しました。この中計の財務目標は、冒頭申し上げた通り、グループの中核企業の経営陣が参加して練り上げた、日本ペイントグループとしての経営の意志であり、目標達成に向けて、グループの総力をあげて取り組んで参ります。

2023年時点での目標数値を示し、かつ2024年以降の成長目標にも言及しています。いうまでもありませんが、これらは、様々な数値に基づく予測と見通しに基づくものであるとも紹介されていました。次に各分野での成長率についてです。「中核の汎用事業は2020 年で売り上げの 56%を占めますが、中計期間中に CAGR 10-15%伸ばす計画です。また、事業軸で展開する自動車用塗料事業 5 から 10%伸ばしていきます。その他、工業用や塗料周辺事業も同様に売上規模の成長を見込んでいます。」

中核の汎用事業の伸びは大きなものが予定されていますが、世界最大の市場である中国の成長性に可能性を見ているとのことでした。「各パートナー会社はそれぞれ経営理念やビジョンなどをもち、大切にしています。私たちはそれらを尊重しながら、グループ全体を貫く包括的な経営上の価値観として Purpose を位置づけました。また、同時に、蜘蛛の巣型経営の中核的リーダー達とディスカッションを重ね、社外取締役の皆様からもご意見を頂き、Purpose ステートメントおよび Business Philosophy の策定に至りました。Purpose ステートメントは、「Enriching our living world through the power of Science + Imagination」というもので、日本語では「科学と想像の力で、私たちの生きる世界を豊かにする」というものです。これには、私たちの強みである技術力を活かして社会課題を解決し、私たちの暮らす世界を持続可能で豊かなものとするとともに、富の創造に貢献する意味を込めています。

Business Philosophy の一つ目として、Prosper Together は「共存共栄の精神」を表しています。これは、当社が創業より大切にしている考え方であり、株主価値最大化の前提としてのステークホルダーに対する責務の充足を意味しています。次に、Science + Imagination は「科学と想像の力」です。これは、科学の力と、塗料製造に必須の想像の力を足してイノベーションを起こし、世界を豊かにしようとする意欲を表明したものです。さらに、Powerful Partnerships は「グループ会社の絆」を意味します。これは、世界に広がるパートナー会社の人々を互いの尊敬や信頼でつなぎ、英知を結集することがイノベーションや成長の糧であるという考え方を示しています。」

新しい体制が構築され、M&Aで新しい仲間が増えていくこの時期にこうした企業理念を定めるのはとても良いことであると思います。内容的にも全方位に配慮されており、企業の社会性が重視されていると感じました。「当社では、DuluxGroup が保有する接着剤Selleys」や、Betek Boya ETICS などについて、蜘蛛の巣型経営を通じてグループ内展開が可能と考えています。また、NIPSEA Project 事業でも、顧客サイドから塗料周辺製品への需要が高まっており、既存の流通網やパートナーシップを活用するとともに、戦略的な投資を進め、この分野の成長を目指していきます。」

塗料周辺事業への進出も明確に方針が示されたと思います。特に海外では、接着剤やシーラント、防水材は塗料との境界が明確ではない分野として認識されこれらを販売する塗料事業者も多くあります。グループであることのシナジー効果としては、当然ともいえる方向性であると思いました。「マテリアリティの一つである「気候変動」、すなわち CO2排出量ネットゼロに向けては、既に具体的な課題抽出や対策の検討を開始しています。例えば、グループ全体では、再生可能エネルギーの調達カーボンプライシングの財務影響を把握するとともに、世界各地で省エネルギー設備の採用再生可能エネルギーの自前調達に向けた投資も検討しており、CO2対策と収益力向上の両面から対応していきたいと考えています。」

CO2実質排出量ゼロについてもロードマップが示されました。これはこれは素晴らしいのですが、対象がエネルギー関連のCO2に限定されている印象を受けました。汎用は水性塗料が多いとはいえ、VOC排出量はかなりのものになります。やがて大気層からオゾン層で酸化分解されるVOCについての配慮もしていただけるとなお素晴らしいのではないかと思いました。

以上が私の気になったスライドですが、M&Aでもあれば2023年より早い時期に1兆円達成の可能性もあるのではないかと思います。

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