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かんとこうブログ

2021.08.07

ワクチン接種は感染拡大防止に最後の切り札たりうるのか?

感染拡大が止まるところを知りません。蔓延防止等重点措置の対象県を増やすなど対策が出されていますが、その効果も疑問視されています。そんな中で菅首相の記者会見において、「ワクチン接種を加速することで全国規模の感染拡大を抑えたい」と話しているようですが、果たしてワクチンは感染拡大抑制の最後の切り札であるといえるのでしょうか? 札幌医科大学のコロナ関連データサイトで各国の実績を調べてみました。

札幌医科大学のサイトでは、それぞれの国のワクチン接種率(部分、完全)と新規感染者数/新規死亡者数の関係をグラフで図示することが可能ですので、それを使ってワクチン接種の進んだ国を中心に、ワクチン接種率と新規感染者/新規死亡者の関係を見てみましょう。まずは、接種率と新規感染者数の関係についてです。ヨーロッパの各国です。ワクチン接種はかなり進んでいますが、驚くべきことに接種率がある時点にきてから感染者が増加しています。これはデルタ株の影響が強いと思われますが、「ワクチン接種が進めば感染者が抑制される」とは言えない状況です。次いで南北アメリカとオーストラリアです。よく見るとアメリカ、カナダは直近の状況では感染者が増加に転じています。これもデルタ株の影響と思われます。チリは部分接種率60%、完全接種率40%を超えて減少してきました。

中東、アジアです。よく引用された「部分接種率40%を超えると感染者が減少する」という情報の根拠はイスラエルの感染状況であったと記憶していますが、それはすでに過去の話で、イスラエルもバーレーンもすでに感染者は接種率がさらに増加しているにもかかわらず、感染者は増加しています。

いかがでしょうか?ここまで見てきた結果、「ワクチン接種が進めれば、感染拡大が抑制される」というのは必ずしもいつも成立するものではなく、それどころかデルタ株については当てはまらないケースが多いとさえいえそうです。

ここまで調べましたので、ワクチンの本来の効果、重症化抑制、究極的には死亡者抑制の効果について同様な図表を作成してみました。誠に残ねんなのですが、ヨーロッパ各国については、必ずしも新規死亡者抑制の効果がみられるというわけではないようです。南北アメリカ・オーストラリアでは、アメリカを除き、「ワクチン接種が進めば、死亡者が減少する傾向にある」ということを否定するだけのデータにはなっていません。アメリカは、直近のわずかな増加が気になります。

中東・アジアですが、一見イスラエル、バーレーンでは見事に「ワクチン接種が進めば死亡者が減少している」ように見えますが、よく見るとイスラエルの最近のデータでは死亡者が再び増加、それも急増してきています。これは、変異株に加えて、ワクチン接種後半年以上経過すると抗体が減少してくるという事情もあるようです。

以上各国の状況を見てきましたが、「ワクチン接種が進めば、感染拡大も死亡者増加も必ず抑制できるというわけではない」という結論になるのではないでしょうか? こうした結果になったことについては、「ワクチン未接種者が中心に感染している」とか「変異株の影響が大きい」とかいろいろ要因はあるでしょうが、事実は厳然として事実です。私は「ワクチンの効果がない」などと言っているのではありません。「ワクチン接種がすべてを解決してくれる」という考え方が危険なのではないかと言っているのです。

ワクチン以外の感染防止策についても、専門家の知恵を借りながら考えうる限りの対策を立案し、対策として講じてほしいと思います。もう飲食店の時間制限やアルコール禁止、不要不急の外出自粛要請以外に政府、自治体としてできることは本当にないのでしょうか?

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