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かんとこうブログ

2021.09.27

真の世界一黒い塗料は埼玉から・・

926日日曜日の夕方テレビ朝日の「ナニコレ珍百景」という番組で、世界一黒い塗料として埼玉県の会社が開発した塗料が紹介され、可視光域の吸収率が99.4%であると紹介されました。ここまで書くと、本ブログをずっとご覧になっている方にはすでにお判りかと思いますが、「世界一黒い塗料」というのは以前本ブログで紹介したことがあり「 Vantablack 」なる塗料が世界一の黒い塗料であり99.965%の光を吸収すると紹介したことがあります。そしてこの「 Vantablack 」なる塗料を全面に塗装したBMWがベルリンの街を走ったと喧伝されていました。

気になったのですぐに調べてみました。結果を先に書くと、真の世界一黒い塗料は今回紹介された埼玉産の塗料だと判断しました。埼玉産と書きましたが、決して埼玉を揶揄しているのではありません。埼玉県が知る人ぞ知る塗料生産王国で、事業所数、従業員数とも都道府県別で日本一なのです。「世界一黒い塗料」は、塗料王国埼玉にふさわしい快挙ではないかと思います。

今回紹介された塗料の製造元はネット調べてすぐにわかりました。「光陽オリエントジャパン」という会社で、光学機器に関わる商品、主に無反射や遮光素材を製造・販売しているようです。無反射表面が要求される光学機器の内面用途向けにさまざまな材料を販売している会社です。

この会社の商品を紹介・販売するサイトが別にあり、「世界一黒い塗料」である、「真黒色無双」が技術データとともに紹介されています。

https://www.ko-pro.tech/musoublack/

このグラフで「真黒色無双」はピンク色の実線(エアブラシ塗り)と点線(筆塗)です。このデータが一目で信頼性があると感じるのは、塗装方法で反射率が変化するとしているところです。各波長の反射率がちゃんと示されているのも信頼性の証です。この「真黒色無双」の反射率がエアブラシで塗装すれば吸収率が99.4%というのは事実に違いありません。

この「真黒色無双」は、主としてプラモデルや各種模型、工作などを用途とししています。このように超低反射率を実現するためには、「対象物の表面に非常に大きな表面積の粉状塗膜層を作ることで、光を内部に閉じ込めて逃」さないようにしており、このため、「粉状の光吸収層のため、塗膜の強度は非常に低く、軽い接触でも光沢の発生や塗膜の剥がれが発生します。同様の理由にて発塵が問題になる場所にはご使用できません。」と書かれています。(太字部分は引用)上の表面写真からも、表面が粉状の構造であることが推定でき、こうした注意事項も好感が持てます。

しかし、世界には「Vantablack」なる塗料があり、99.965%の吸収率を謳っています。この塗料のことはどう考えているのでしょうか?周辺を調べていくと、この会社は実に周到にこうした真っ黒い塗料のことを調べており、「 Vantablack 」についても、ちゃんとリサーチしていました。

https://www.ko-pro.tech/190917/

全部引用すると長くなるので要点を箇条書きにすると

ということでした。フランクフルトのBMWの黒い車に塗装されたものについては、私たちも林立するカーボンナノチューブとは全然別ものであることについては情報を得ていましたが、その平均全反射率の数値までは思い至りませんでした。さすが、光学的無反射のプロです。

これで、「真黒色無双」が世界一黒い塗料であるということは納得できました。しかし、驚くのはまだ早いのです。

この会社の製品の中に、いとも簡単に「世界一黒い車」を実現できる材料があるのです。それはファインシャット「極」というウレタンスポンジです。遮光溝のような凹凸で形成されており、(下の写真)溝と垂直方向から照射された光を吸収することで、可視光~近赤外域(250~2000nm)で1%以下の反射率を実現しています。

以前「世界一黒いもの」を書いたときに、針やビロードなどの構造をご紹介しましたが、なるほどこの構造なら光が反射できないであろうとうなずけます。説明書ではさらに、「特に近赤外領域において、最高の反射防止性能を持ち、250~2000nmという幅広い波長域で全半球反射率1%以下を達成いたしました。この驚異的な性能を、わずか0.37mmという薄さで実現しております。ベース素材は微細発泡ウレタンなので、耐久性や取扱の容易さといった特徴をそのままに残しております。植毛特有の毛落ち問題も近赤外域の大きな反射もなく、また、メッキや蒸着コーティングのように僅かな接触で光沢が発生し、大きく性能が劣化することもありません。RoHS2.0規制にも対応しております。」(太字は引用)至れり尽くせりのスーパー素材のようです。

 

さらに驚くのはこの会社が、いまご紹介した材料を使って、世界一黒い車を仕立てあげたことです。上の「ファインシャット極」は両面テープがついているそうで、それを利用して車の外板に貼り付けて、世界一黒い車を作りあげ、公道を走行したということが写真付きで公開されていました。

https://www.ko-pro.tech/200212kurokuruma/
このブログには、作ってみてわかったこととして
撮影時の外気温8でしたが、車内はとても暑いです。思ったより注目されまなかった。(人口が少ない?)思ったより社内の賞賛を得られなかった。(心の余裕が少ない?)だったそうです。
このファインシャット極みで外装した車は、接触による光沢が発生せず、汚れたら水洗いも可能とのことなので、世界一黒い車を作る材料としては、現在の最右翼であると思われます。

無反射技術に拘って素晴らしい製品を作りだしてきた 光陽オリエントジャパン の皆様に改めて敬意を表したいと思います。

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