お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2021.10.06

5番目の承認薬ソトロビマブの作用機序

927日、新型コロナを対象に新たな抗体薬であるソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)が特例承認となりました。この薬は軽症~中等症の新型コロナ患者に対し、すでに承認されている抗体カクテル療法(カシリビマブ/イムデビマブ、商品名:ロナプリーブ))とともに、治療に用いられることになります。今日はこのソトロビマブの作用機序(どのようにして効果を発揮するのか)について、複数サイトからの引用でご紹介します。

よく知られているように新型コロナウイルスは、スパイクタンパクのRBD(レセプター結合ドメイン)が、ヒトの細胞のACE2(アンギオテンシンインベルターゼ2)と結合して、吸着・侵入します。(下図)

すでに認可されている抗体カクテルは、このACE2結合部に対するモノクローナル抗体で、変異型にも対応できるように2種類の抗体を混合して使用します。モノクローナル抗体とは、左図に示すように、ある1種類の特定の対象にしか効果を持たない抗体のことです。


 

一方、今回承認されたソトロビマブ(商品名ゼビュディ)は同じスパイクタンパクに対するモノクローナル抗体でありますが、抗体カクテルとは異なりACE結合部位以外に結合します。このソトロビマブが結合する部位は変異が起こらないことがすでに確認されている部位であり、今後も変異がおきないと考えられ、したがって変異によって効果が著しく損なわれることがないと期待されています。

 

さらにこのソトロビマブには抗体カクテルにはない免疫作用の活性化効果があります。それが免疫細胞による抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性です。(下図)


抗体依存性細胞傷害(
ADCC)活性や抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性とは、ウイルスに取りついた抗体(ソトロビマブ)が、免疫細胞や貪食細胞を呼び寄せ、免疫細胞や貪食細胞が抗体を介してウイルスを攻撃することであり、こうした活性によりさらに治療効果が増強されるものと期待されています。

変異の影響を受けにくく、ADCCADCP活性をもつというこのソトロビマブはなかなかの優れもののようです。

本項は以下のサイトから図や内容を引用させてもらっていました。 

ソトロビマブの作用機序に関する説明の大部分と図 新薬情報オンライン

https://medicalcampus.jp/di/archives/16453
モノクローナル抗体の図   中外製薬
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/bio/antibody/antibodyp11.html
抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性や抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性 の説明 日経バイオテクhttps://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/011900001/19/06/20/00258/

コメント

コメントフォーム

To top