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かんとこうブログ

2021.10.07

日本ペイント HD の新中期経営計画

10月4日に日本ペイントHDの投資家向け会社説明会があり、その中で新中期経営計画(2021~2023年)もレビューされていました。今日は当日の資料を引用してその内容についてご紹介します。

まず、⻑期的な目標として、同社がベンチマークしている大手競合企業の売上の年間平均成⻑率目標が 4〜6%程度であることを踏まえ、同社の目標を 2024年以降、1桁台後半の持続的成⻑としています。また、3年後の目標としては、2023 年に売上1兆 1,000 億円、営業利益 1,400 億円、株式分割前のEPS(1株利益)225円を目標としています。

2020年の売上、営業利益、1株利益を基準にすると、この3か年で、売上は毎年10%プラスの成⻑率、営業利益率は 2.7ポイント改善、1株利益は 毎年25%増加させる必要があります。

一見ずいぶんと高い目標値のように感じられますが、すでに2021年末の予想値は上表数値から上方修正されており、売上が1兆100億円に、営業利益も1010億円と予想していますので、売上そのものは、苦も無く達成できるであろうと思われます。ただ、1株利益の年率25%改善については、かなり高いハードルであると思われます。抜本的な業務改善が必要であり、日本事業についての投資計画もそのあたりを見据えたものと思われます。

次に地域別事業別戦略、サステナビリティ、M&A戦略についてです。

地域別では日本に関する方針が注目されます。これまでHD体制以降の動きを見ていると海外の動きが中心であり、日本については市場の特殊性もあってか、あまり大胆な改革には手を付けない方針かと思っていましたが、今年からは生産性向上と新規需要創出を打ち出してきています。生産性向上となっていますが、サプライチェーン全般の抜本的改革を実施していくのではないでしょうか。このサプライチェーンの改革は下のサステナビリティ・M&A戦略におけるデジタル化を活用した業務改革とリンクしているものと思います。日本が遅れている業務システムのデジタル化とグループ内全体の統一化を日本でも進めるのではないかと想像しています。

同社は従来からSDGs・ESGを経営の中心に据えることを打ち出してきました。今回グループ全体の存在意義を”パーパス”として定めたそうですが、この中には、SDGs・ESGに対する確固たるコミットメントが含まれているに違いありません。SDGs・ESGへのコミットメントをグループ全体で共有することで、新たなビジネスチャンスや投資先としての価値を高める目的と思われますが、名実ともに世界のトップを窺うためには必要な戦略かと思われます。

このSDGs・ESGについては、特に項を改めて詳細に説明がされています。

上は同社が課題とするSDGsとESG実施項目の一覧表です。これらをすべて事業機会と結び付けており、SDGsやESGが単なる企業イメージの向上のためだけではなく、事業機会を獲得するために必須要件であるという考え方が示されていることを評価したいと思います。

ただ少し残念なのは、ESG実施項目に具体的な数値目標が示されていないことです。おそらく内部では具体的な目標値はすでに設定されていると思われますが、公開してその進捗を明らかにすることでさらに社会からの信頼を勝ち得た方がよいのではないかと思います。

CO2についても、世界のグループ会社全体での排出量を算出し公開していることは大いに評価できるのですが、その先の削減実施については抽象的な表現にとどまっています。国としても2050年における実質排出量ゼロを宣言したものの、その内容についてはまだほとんど決まっていない状態ですのでやむを得ないとは思いますが、次は是非具体的な実施計画について言及してくれることを期待しています。

世界のTOP3の一角に入ることを見据え、SDGs・ESGを経営の中心に据えるという同社の経営姿勢は高く評価されるべきものと考えています。同時に日本におけるDXを通じた業務システムやサプライチェーンの改革にも大いに注目しています。

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