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かんとこうブログ

2021.12.22

金閣寺の金箔はなぜ輝き続けているのですか?

現在大学で「塗料塗装工学概論」という講義をしていますが、おおよそ2回の講義に1回の割合でレポートを提出してもらっています。課題はいつも同じで、講義の中で印象に残ったこととその理由について書いてもらっているのですが、時々質問が書いてあります。この質問が考えたこともないようなことが多く結構面白く読ませてもらっています。そうした質問の中に掲題の質問がありました。「そりゃあ、金だから輝き続けるのは当たり前だろう」と瞬間的には思いましたが、一応念のために調べてみたところ、そうも簡単に言いきれるものではないことがわかりました。

今日はこの金閣寺の金箔について調べたことをご紹介します。

金閣寺について | 金閣寺 | 臨済宗相国寺派 (shokoku-ji.jp)より引用

金閣寺が昭和27年に焼失したことについては、三島由紀夫の小説でも取り上げられ有名ですが、焼失する以前の金閣寺というのは、実は一部にしか金箔が張られておらず、現在のまばゆく輝く外観ではなかったようです。火災からの再建は3年後の昭和30年(1955年)で、その際に現在のような形で金箔が張られることになりました。

この時は、厚さが0.1μm、大きさ10.8センチ四方の金箔10万枚が張られたのですが、しばらくすると徐々に輝きが失われてきたそうです。使用された金箔はいわば通常の金箔であり、「屋外の使用環境」に耐えるものではなかったということのようです。「この厚さ(0.1µm)では紫外線の影響を受けやすくなってしまうのです。金箔にピンホールができてしまうため、のりの役割を果たしている漆が変質し、金箔が剥がれ落ちてしまいました。」という説明が見つかりました。

失われた輝きを取り戻すため1987年に金箔の全面張替が行われました。前回の轍を踏まぬよう「昭和の大改修(1987年)の際には0.5マイクロメートルと約5倍の厚さの金箔を20万枚用意し、二重にして強度を確保することにした」そうです。つまり昭和30年に張った金箔の10倍の厚みにしたわけです。

下の表に金閣寺の金箔に関してまとめてみました。

その後部分的には補修が行われているようですが、全面的な張替はされていないようです。自信なさげな書き方で申し訳ありませんは、肝心の金閣寺のホームページには金箔について何も書かれていないため、様々なサイトからの類推で書いておりますのでご容赦ください。

昭和の大改修(1987年)における金箔の張替は、岐阜・多治見市笠原町・ヨコイ屋仏壇店の箔押師・杉浦義晴(すぎうら よしはる)氏などわずか3名の職人さんの仕事によるものだそうです。単純に計算しても一人7万枚近くを張り替えたことになります。塗料よりもはるかに薄い金箔を張り替えることの難しさと強いられる緊張の度合いは想像すらできませんが、大変な仕事をされてものだと思います。

さて、この金閣寺の金箔ですが、1階部分には張られておらず、2階3階部分にしか張られていませんが、これについては、「金閣寺の建設者である足利義満が、豪華絢爛さを追い求めて自ら没落していく貴族に対して、「自分たちのような質実剛健な武士が取って代わる」という意思の表示といわれています

さて「金閣寺はなぜ輝き続けるか?」という質問にはどう答えたらよいのでしょうか?それは「金箔が張ってあり、金は貴金属であり腐食しないから」という答えだけでよいでしょうか?どう回答しようかまだ迷っています。

本日ご紹介した内容は主に下の二つのサイトから引用させていただきました。お礼を申し上げます。

再建前はほとんど金箔がなかった金閣、再建後は特製の金箔で輝きを保つセパレーターや型枠工事なら東和製作所 (towa-seisakusho.com)
https://www.shichinokura.com/gold-kaitoriblog/Kinkakuji-goldleaf/

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