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かんとこうブログ

2021.12.21

尿素水の価格が高騰しています!

昨日のニュースで「尿素水」の価格が高騰し、入手困難という話題が報じられていました。この「尿素水」少し前に韓国で同じような現象が起き、ニュースで報じられていました。「尿素水」なるものが何に使われ、どうして今回価格が高騰しているのかについて、ニュースで報じられてことを中心にご紹介します。

尿素と聞くと私などは人類が最初に合成できた有機物ということを思い出します。19世紀前半まで人類は有機物を合成することができず、有機物は神のみが創り給うものと信じられていたとか、それが意図せざる形で尿素が合成されると堰を切ったように次々と有機物が合成されるようになり、今日の有機化学の隆盛に至りました。

話がそれましたが、この「尿素水」は、ディーゼルエンジン車の排気ガス処理に欠かすことのできない物質です。国際規格で厳格に定められた組成(尿素32.5%、脱イオン水67.5%)となっており、日本や欧州で「AdBlue」の名前で普及していますが、これはドイツ自動車工業会の登録商標だそうです。

この「尿素水」は、排気ガス処理において以下の作用原理で窒素酸化物(NOx)を無害化します。

このシステムは尿素SCRSelective Catalytic Reduction:選択的触媒還元)と呼ばれるもので、本来火力発電所などで使用されていたものですが、日産ディーゼルが、この尿素SCRシステムと高圧燃料噴射を組み合わせ、自動車積載用のシステムとして開発したもののようです。本来窒素還元の主役であるアンモニアを自動車に積載することの危険性を避け、尿素水を分解する形でアンモニアを供給するという優れたシステムです。

現在このシステムが搭載されたディーゼル車では、尿素水がなくなるとエンジンが再起動できなくなるそうで、市場で尿素水が入手できなくなれば物資輸送に大きな影響がでることになります。

昨日のニュースでは、この尿素水の値段が高騰し品薄になっている原因について、次のように説明していました。

まず、これまでの尿素水をつくるための尿素の供給は国内5割、中国が3-4割であったが、11月以降中国が輸出禁止措置を講じたため、中国品の尿素が入荷しなくなった。この原因は尿素の原料となる石炭がオーストラリアから入ってこなくなったためであり、尿素は肥料製造にも用いられるため中国政府は肥料用途を優先供給することにしたため、輸出禁止の措置をとったということのようです。これに対し、経産省は国内の尿素製造者に増産を呼びかけ、国内製造者は増産に応じているとのことでした。

尿素水の価格高騰と品薄の原因が、元をたどると米中関係の悪化ということになると風が吹けば桶屋が儲かる的な話に聞こえますが、様々なものを輸入に依存している今日の日本では、予想もしなかったことの影響で日常生活が脅かされるという例の一つとして受け止めるべき事例かと思います。

尿素水およびNCRシステムについて、ウイキペディアから内容を引用させてもらいました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/AdBlue
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E7%B4%A0SCR%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

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