お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2022.03.29

ブースター接種は感染抑止に効果があったのか?

321日をもって蔓延防止等重点措置もすべて解除され、世の中にはコロナは落ち着いたというムードで一杯になっています。第6波を振り返ると、感染力の強いオミクロン株の登場で、これまでにない速さで感染者数が増大し、一時は全国で一日で10万人を超える新規感染者が報告された日もありました。

すでにワクチンを2回接種した人が大多数に上っていたにもかかわらず、このように感染が急拡大したため、ワクチン2回接種による感染抑止力では不十分であり、急遽3回目のブースター接種の必要性が叫ばれ、スケジュールの前倒しを行い高齢者を中心に3回目接種が推進されました。その結果2月初めをピークに新規感染者数は徐々に減り始め、現在まで減少傾向が継続しています。

このように書くといかにも3回目接種が進んだおかげで感染が収束傾向になったという理解をしたくなりますが、私は違うと思っています。今回もこれまで同様、感染が収束傾向に向かった本当の理由はわからないのであり、強いて言えばウイルスの自壊によるものではないかと考えています。そう考える理由をこれから説明します。これからご紹介するデータはすべて首相官邸ホームページのコロナワクチン特設サイトのデータです。(下記URL

年代別、ワクチン接種歴別にみたときに一体いつが新感染者の数が最も多かったのか、というところから見ていきたいと思います。下表に年代別、ワクチン接種歴別の週単位での感染者数の一覧表を示します。

細かい数字は無視して、黄色く色づけした欄の位置にご注目ください。大事なことが二つあります。ひとつは、最大の新規感染者数を記録した時期は、ワクチン未接種者も2回接種者(一部に3回接種者も含む)も同じだということ。もう一つは、年代ごとに多少ピークの時期が異なっており、若年層は早い時期にピークを迎え、80歳以上の高齢者のピークは遅かったということです。

この二つのうち重要なのは何と言ってもワクチン接種歴でピークアウトの時期が同じということです。感染者の時期的な増減傾向においてワクチン接種歴は無関係なのです。

私はそもそも「2回接種では感染抑止に不十分である」という認識自体が正しくないと考えています。ブースター接種を決断した時点の「2回接種では半年も経てば感染抑止力がなくなる」というのはイスラエルやイギリスのデータであり、日本にはそうしたデータはありませんでした。日本に存在したデータは「2回接種しても時間が経てば抗体数が大幅に減少する」というものだけです。

実際に1月以降の新規感染者の内訳を調べていくと、ワクチン未接種者と2回以上接種者の人口10万人あたり感染者は明確に大きな差異があります。(下図)

左が未接種者、右が2回以上接種者ですが、どう見ても2回以上ワクチン接種者の10万人あたりの感染者の方が圧倒的に少ないのです。ワクチン接種歴別感染者のデータから、2回以上ワクチン接種による抑止率を計算できます。(抑止率%=(未接種者感染者数-2回ワクチン接種者感染者数)/(未接種者感染者数)*100)その結果を下に示します。

この図では昨年の8月9月のデータも示しており、さすがにそこからは抑止率は低下しているものの、全世代の抑止率は、1月以降においても最低でも75%を超えています。65歳以上の高齢者に至っては最低で85%、最近では90%を超えています。このように書くとそれは3回目接種のせいではないのかという声が出てきそうですが、それは違います。赤い矢印が示す位置は抑止率の極小点で、下がりかけていた抑止率が再び上昇に転じた点です。この時点の3回目接種率がどうだったかを下のフラフで確認してみます。

抑止率が上昇に転じた時点の3回目ワクチン接種率は高齢者で20%以下、国民全体に対しては10%にも達しません。これ程度の接種者の存在で感染傾向が変化するとは考えられません。

同様なことを年代別ワクチン歴別感染者数についても見てみましょう。

下段の二つのグラフは人口10万人あたりではなく、感染者数の実数の推移を年代別、ワクチン歴別に示したものです。感染者数だけを見れば、未接種者よりも2回接種者の方が多いのですが、これは2回接種者の母数が未接種者よりもはるかに多いためです。

感染のピークはワクチン接種歴に関係なく。20代が124日から29日までの週、80代が27日から13日までの週でした。この時期を上の段の3回目接種率(累積)と見比べると、20台の感染がピークだった時期に全国民に対する3回目ワクチン接種率は一桁%であり、80代の感染がピークであった時期の高齢者の3回目ワクチン接種率は30%以下であったことがわかります。ワクチン接種から抗体形成まで時間がかかることを考えれば、今回のピークアウトに3回目接種が貢献しているということは考えにくいことが理解していただけると思います。 

私は3回目接種が無駄であったと言っているわけではありません。重症化防止に効果があることまで否定しているわけではありませんし、この先の感染抑止力持続にも貢献してくれることも期待しています。

ここで言いたいことは、今回の第6波への対応について実際のデータを顧みることなく、「ブースター接種を推進したので他国に比べて感染規模が少なくて済んだ」というような安易な総括をしないでほしい、何が効果があって何がなかったのかを明確にしてほしい、そして次回にはより的確な対策を講じてほしいということを願うということです。

しかしこうなると3回目接種が重症化防止や死亡の抑制につながったのかどうかも検証したくなりましたので、明日データを交えてご紹介します。

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントフォーム

To top